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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

はーたんと新年の準備

「なあ、これ捨てていいのか?」

「棚のものは一旦全部出せ」

年の瀬が明日に迫ったある日、特に依頼が入ってなかったゴルダはハーキュリーをも動員して大掃除をしていた。
なお、アルガントとウラヘムトは全く手伝う気がゼロで居間でゲームをしている。
今ゴルダとハーキュリーがやっているのは、部屋の棚の整理。
とはいえ、捨てるようなものがないので一旦棚の中身を全部出して掃除するだけなのだが。

「こんなに本があっても仕方ないだろうよ」

「下手に捨てる代物じゃない。全部竜医学関係のものだ」

「こんなにみっちり詰めてたらいざという時危ないぞー?」

こんなに本を棚に置いてても仕方ないというハーキュリーに、ゴルダは下手に捨てれるものではないと返す。
するとそれにハーキュリーはいざという時に危ないぞと言ったが、ゴルダは聞いて聞かぬふりをして流した。

「よっこらせ」

そんな一声と共に、ゴルダが持ち上げたのは武器を保管しているロッカー。
中には実弾入りの銃が入っているにもかかわらず、御構い無しに持ち上げる辺り何を考えているのかが分からない。
そして武器ロッカーを横に置き、ゴルダはもともと置いてあった場所を拭き始めた。
どうやらロッカーの後ろに溜まっていた埃を取るために持ち上げたらしい。

「そんなには溜まっていない…か」

埃を雑巾で拭くついでに取り除きながらそう呟いたゴルダに、ハーキュリーは

「日頃からゴルダは掃除してるからだろーな」

と褒めているのか皮肉っているのか分からないことを言った。
埃を取り除いて拭き終えた後、ゴルダはまた武器ロッカーを持ち上げて所定の位置に戻そうとしたのだが、どうやら鍵が開いていたらしく、中から妙な球体が転がり落ちてきた。
ちなみにこれは魔法の技術で作られた手榴弾で、床に落としたくらいの衝撃でも起爆するくらいには危ないものなのだ。

「!!、ゴルダ危ないぞー!」

それにとっさに気付いたハーキュリーは、それを目にも留まらぬ速さで掴むと、三振王のピッチャーでさえも腰を抜かして逃げ出すような速さと投げ方で開いている窓からそれを投げ捨てた。
窓からそれを投げ捨てて3秒ほどしてから、外からボンという爆発音が聞こえてきた。

「ん?なんだ?」

「なんでもないぞ?」


ハーキュリーは、その爆発音に気付いたゴルダになんでもないと嘘をついて流し、事なきを得た。
その後は何事もなく部屋の掃除を終え、今度は台所の方へ。

「流し台の方をやってくれ、俺はコンロとオーブンをやる」

「オッケー」

なおも居間でゲームをしている2人を尻目に、ハーキュリーに流しの方を任せたゴルダはオーブンを開けて中からトレイなどを出して洗剤で中を擦り出す。
一方のハーキュリーは、日頃からゴルダが洗って綺麗にしている流しを見て

「排水口…しかないよなー?」

日頃あまりゴルダが掃除してないのは排水口だろうと、排水口のゴミ受けを外して中を見る。
中は案の定の汚さで、もし食後にやっていたら最悪リバースするところだっただろう。

「ゴルダめ、ここも日頃から掃除しておけばいいのに」

少々の文句は言いつつも、ハーキュリーは排水口の掃除を始める。
汚れこそはひどかったものの、洗剤さえ使えば落ちる汚れだったのでそこまで苦にはならなかった。
そして、ハーキュリーがある程度排水口の掃除を終えて排水口そのものの中にかなり強力な錠剤タイプの洗剤を入れた瞬間。
排水口の中からとてつもなく大きなゲップの音がしたかと思えば、変な色の煙が排水口の中から上がってきたのだ。

「な、なんなんだー?」

何が起こったんだと思いつつも、水で排水口の中を流すハーキュリー。
さすがに排水口や下水に何かが居るのではないかと思ったが、とてもではないがゴルダに聞く気にはなれなかった。

「流しの方は終わったか?」

「お、終わったぞ」

「悪いな、あとは俺がやるから少し休んでろ」

オーブンの中を掃除し終えたゴルダにそう聞かれ、ハーキュリーは面食らいながらも終わったと返す。
するとハーキュリーはゴルダに休んでいろと言われ、居間の方へ。
おそらく、何かしら察してくれたのだろう。

「んー、雪かー」

ソファに座って外を眺めていると、うっすらと雪が降っているのが確認できた。
天気予報では、年末年明けは雪が続くと言われていたがあながち間違いではないらしい。

「次どうすっかなー」

次はどこを掃除するかを考えていると、唐突にゴルダが

「ちょっと買い物に行かんか?」

買い物に行かないかと言ってきたので、ハーキュリーは二つ返事で了承。
ちなみにどこへ買い物に行ったのかというと、あからさまな業務用スーパー。
一応、正月料理の食材を買いにきたようではあるが。

「なーなー、わざわざこんなところ来なくても普通のスーパーで事足りるんじゃないのか?」

普通のスーパーで事足りるのでは?と言ったハーキュリーに、ゴルダは

「どうせなら沢山作りたいだろ?そういうことだ」

どうせなら沢山作りたいだろという返事を返す。
それにハーキュリーはそれもそうだけどさと言ったっきり、何も話さなくなった。
ちなみに、ゴルダが何を買ったのかというと、魚介類はもちろん肉や冷凍物の野菜など。
だが、ハーキュリーがどうしても分からなかったのはゴルダが餅粉を買ったという点だった。

「餅粉なんて何に使うんだ?」

「帰ってから教えてやる」

「えー」

一応、餅粉を何に使うのかを聞いたのだが、ゴルダは 帰ったら教えてやると言うだけで教えてくれなかったとか。

そして帰宅後。
買ってきたものをあちこちに広げて大規模な料理を始めるゴルダ。
一応ハーキュリーも手伝ってはいたが、いつも作る料理とは勝手が違っていたので多少手間取っている。

「よし、この粉に水を入れて混ぜろ」

「混ぜるだけでいいのか?」

「混ぜた後はまた教える」

ここで、ゴルダはハーキュリーに餅粉と水を合わせて混ぜろと指示。
ハーキュリーが混ぜるだけでいいのかと聞くと、ゴルダはその後はまた教えるので早くやれと言う。
少し嫌な予感がしながらも、ハーキュリーは餅粉と水をボウルに入れて混ぜ始めた。

「わふ?なんだかベタベタしてきたぞ?」

ゴルダに言われた分量の水と餅粉を混ぜていると、餅粉に粘り気が出てきた。
しかもそれはハーキュリーの手の毛に貼り付いてくる。

「ゴルダ、これ毛に引っ付くぞ?」

「餅だからな、そりゃ毛にへばり付く」

「むー…」

毛に引っ付くとハーキュリーがゴルダに言うと、餅だからへばり付くという返事を返された。
それを聞いたハーキュリーは、少しむすっとした顔でゴルダを見て後で仕返ししてやると決めたのであった。

「できたぞ?」

「よし、次はそれを適量にちぎって蒸すぞ」

毛にへばりついた生餅を落としながらハーキュリーはゴルダにできたことを報告。
するとゴルダは今度はそれを適量にちぎって蒸すと言い出す。

「ゴルダがやれよなー」

「ああ、そのつもりだ。ハーキュリー、お前には蒸すのをやってもらう。とりあえずその毛にへばりついたの落としておけ。湯を使うと落としやすいぞ」

これにはハーキュリーもゴルダにやれと言ったが、ゴルダはそのつもりだということを言い、蒸すのはハーキュリーにやらせると言う。
そして毛にへばりついた餅を落としておけと言われたハーキュリーは、分かったと言って流しでお湯を出して手を洗う。
その間にゴルダは、慣れた手つきで生の餅をちぎっては蒸し器に並べを繰り返していた。

「おっと、どいたどいた。危ないぞアルガント」

「はらへー」

「もうそんな時間か」

コンロに蒸し器をセットしようとしたところ、足元にアルガントが居たのでゴルダが危ないぞと言うとアルガントは腹が減ったと言う。
ゴルダはそんな時間かと時計を確認すると、時間は1時前。
だが先にこれをしなければと、ゴルダは待っていろと言って蒸し器をコンロにセット。
ハーキュリーに蒸し器を見ているように頼んで自分は冷蔵庫を探る。

「湯気すごいなー」

蒸し器から出る湯気を見ながら、ハーキュリーはそんなことを言う。
なお、ゴルダは冷蔵庫から適当に何かを出してアルガントに与えていた。

「んー、いい匂いしてきたぞ」

そう言ってゴルダに見られないようにこっそり蒸し器の蓋を開けるハーキュリー。
中には白いつややかな餅が等間隔で並べられて蒸されていた。
1つ食べてみようかと思ったハーキュリーだが、どう考えても中まで蒸されていないので諦めた。

「どれくらい蒸せばいいんだ?」

「蒸し器を火から下ろすタイミングは俺が計る、その辺は心配するな」

どれくらい蒸せばいいのかを聞くと、ゴルダから帰ってきた返答は俺が分かるから問題ないというものだったので、ハーキュリーはそういうことを聞いてるんじゃないという顔をする。

「よし、もういいだろ」

「お餅お餅」

1時間ほどして、ようやく蒸し上がった餅を火から下ろすゴルダ。
ハーキュリーはその横で蒸し器の中の餅を眺めていたかと思えば、いきなり1つ掴むと

「いっただきー」

そのまま出来たてを食べてしまう。
だが、予想以上に熱かったのかしょっちゅうはふはふしていた。

「おい、一応鏡餅用にも作ってるからあまり食うなよ?というか白餅なんて食っても味もへったくれもないがな」

だがハーキュリーは御構い無しに白餅を食べている。

「餡とかないのか?」

「作ってない、それにその餅は一旦乾燥させて正月の汁物に入れたりするんだ」

「なーんだ」

この2人の仲は、相変わらずのようだ。
そして、年末に一時はこうして過ぎていくのであった。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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