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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

不釣り合いな3人のお茶

「こんにちはー」

「すみません、アルガティア様は現在来客対応中ですので待っててもらえます?」

「はーい」

ある日、何の前触れもなくコロンがアルガティアの所へと遊びに来た。
だがタイミングが悪かったのか、その時アルガティアは来客対応中。

「待っている所申し訳ないのですが、話が長引いて最低でもあと1時間はかかるかと」

「外で待ってるわ」


そのまま従者に待っているように言われて待っていたコロンであったが、30分ほどして長引きそうだというのをまた従者に言われ、上から羽織ってないと寒い外の庭園へ。

「寒っ」

ザリザリと変に固まった雪をブーツで踏みながら、庭園を歩くコロン。
リフィルもすっかり真冬に入っているようである。
一応今日は上に一枚羽織ってはいたが、生地が薄かったのでそこまで温かくはない。

「おや、今日は1人?」

手袋をはめた手を口元に当てて、ふうと息を吐いているとエゼラルドに声をかけられた。
その背には、アルガティアの双子の妹のイレーヌががっちりとした防寒対策をして乗っている。

「ええ、アルガティアに会いに来たけどあいにく忙しいみたいで」

「年の瀬だから立て込んでいるのよ」

コロンがエゼラルドにええと言うと、イレーヌがその背から飛び降りてきてそう言う。
いきなり飛び降りて来たイレーヌにコロンは少々驚いて身構えたが、すぐに構えを解く。

「女王だものね」

「それよりそんな薄手で外にいたら風邪ひくわよ、私の部屋行きましょ」

イレーヌに自分の部屋へ行こうと言われて、コロンは言われるがままに頷いてついて行く。
それから数分ほど歩いていると、庭園の離れに休憩所のような屋根だけの建物と小屋が見えてきた。

「えっ?ここで生活しているの?お城の方じゃなくて」

「城の方に自室はあるんだけど、こっちの方が便利だからいつもはこっちで生活しているの」

その小屋を見て、コロンは城ではなくここに住んでいるのかと大層驚いた顔で聞く。
それに対し、イレーヌはこっちの方が便利だからここで生活していると話す。
なお、その隣はエゼラルドの寝床らしい。

「うーん、とりあえずお湯沸かそうかしら」

イレーヌに次いでその小屋へ入ったコロン。
中は殺風景かと思ったがそうではなく、一通り生活できる家具に化粧台まである所から一応それらしい環境になっていることが伺える。

「コロン、そこの棚から茶葉取ってもらえる?」

「これです?」

イレーヌに言われて棚を探って謎の缶を出すコロン。
中身が本当に茶葉なのかどうかは分からないが、イレーヌはそれで当たっていると返す。

「姉さんはこのブレンドはあまり好きじゃないようだけど」

そう言いながら沸いた湯を注いで紅茶を作り、どこに置いてあったのか分からない菓子を出すイレーヌ。
すると、イレーヌはそれらを持って小屋の外へ出たかと思えばエゼラルドの寝床へ。
こんなところで飲むの?とコロンは突っ込みたくなったが、思っていた以上に綺麗だったので突っ込むのをやめた。

「エゼラルドも紅茶飲むの?」

「僕かい?飲めるけど好き好んでは飲まないよ。どちらかと言えば緑茶がいいかな」

これまたふと気になったのか、コロンはエゼラルドに紅茶は飲むのかと聞く。
するとエゼラルドは飲めるが好き好んでは飲まないし、どちらかと言えば緑茶がいいと答えた。
それを聞いたコロンは一言、エゼラルドに意外と渋いのねと言った。

「ささ、温くならない内にどうぞ」

「じゃあ…いただきます」

コロンがエゼラルドに意外と渋いのねと言った直後、イレーヌが紅茶の入ったカップを差し出してきて温くならないうちに飲んでと言ってきたので、コロンは飲むことに。
イレーヌの淹れた紅茶は、アルガティアの淹れたものに引けを取らない感じだったが、茶葉が違うせいか風味ががらりと変わっていた。
アルガティアが淹れたものの風味が少しミステリアスながらもまずいとは感じなかったのに対し、イレーヌが淹れたものはまずいとは言わせないと言わんばかりに風味の主張が強かったのだ。

「姉妹でも風味が違ってくるのね」

コロンのその感想に、イレーヌはうんまあねと素気ない返事をする。
その返事に、コロンは自分が何か言ってはいけないことでも言ったのだろうかという顔をした。
するとエゼラルドが

「そこまで気負うことはないよ」

と言ってくれたのでコロンがそれ以上そんな顔をすることはなかった。

「ごちそうさま、いい味だったわ」

「言ってなかったけど、これ自家製の茶葉なのよ」

飲み終えてからイレーヌに茶葉が自家製だったことを聞かされて、コロンはそうなのと言ってからさり気なく少しちょうだいとねだる。
ちょうだいと言われたイレーヌは、少し考えた後にあの缶を渡して

「これでいいなら」

と言う。
なお、コロンはその缶を優々として持って帰ったとか。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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