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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

他人の武器、勝手に使うことなかれ

ある日のゴルダの家。
今日は早朝からゴルダが出かけているので、ハーキュリーが留守番をしている。
だが、いつもはゴルダについて行くのでハーキュリーが留守番をするのはこれが初めてだ。

「暇なんだな」

家事も一通り終わり、アルガントとウラヘムトは面倒見ずとも自分のことは自分でなんとかするのでやる事がなくなったハーキュリー。
ここへ来てから、そういう文明のものに対する知識などは身につけて来たのでテレビも見ようと思えば見れるし、パソコンだって使えるがハーキュリーは興味がないので手をつけていない。

「そういえばゴルダの部屋に気になるロッカーがあったなー、何だろ?」

ゴルダの家に居候するようになってからは、掃除はほぼ全てハーキュリーがやるようになっていた。
その際にゴルダの部屋を掃除するとき、決まって部屋の隅に鍵のかかったロッカーがあるのをハーキュリーは覚えている。
このロッカーに関しては、ゴルダからは鍵がどこにあることくらいしか話されておらず。開けるなとも中に何が入っているのかは聞かされていない。

「気になるのだー」

そう言って、ハーキュリーはロッカーの鍵を取ってから部屋へと向かう。
部屋では相変わらずウラヘムトがパソコンでゲームをしていて、アルガントは竜医学の学会誌を読んでいる。
なので、特にハーキュリーを気にしている様子はない。

「オープン」

そして、ロッカーの鍵を外してその扉を開けるハーキュリー。
するとそこには、ハーキュリーがよく分かる銃器や見たこともない銃器。
その他には投擲系の武器や、魔道具系統と思わしき武器が綺麗に整頓されて保管されていた。
何を隠そう、このロッカーは武器を保管しておくためのロッカーだったのだ。

「ゴ、ゴルダって結構物騒なんだなー…」

その武器の多さに、引き気味のハーキュリー。
いつもゴルダが持っている武器と言えば、腰に差している片手剣やどこにしまっているのかも分からない手術道具くらい。
そのゴルダがこんなにも武器を持っていたという事実を、ハーキュリーはあまり認めたくはなかった。
しかし、見慣れない銃器への好奇心が勝ってしまい、ハーキュリーはロッカーからある銃器を出す。
ハーキュリーが出したのは、見た感じでは知識の片隅にあった狩猟用散弾銃。
だが、ただの狩猟用散弾銃ではないらしく。入念な改造が施されている雰囲気を醸し出している。

「うーん」

ハーキュリーはその狩猟用散弾銃を戻し、次の銃器を取り出す。
今度はハーキュリーも使える上によく分かる自動拳銃だ。
だがこの自動拳銃、ハーキュリーでも見たことがないモデルだ。

「結構ずっしり来るのだー」

手に取った感じでは、銃本体がそこそこの重さを誇っているようでずっしりときた。
そして戻そうとした瞬間、うっかり引き金に手が当たっていたらしく、戻した瞬間にドンという発砲音と共にロッカー内で弾が跳弾して天井に命中した。

「あ、危なかったのだー…」

ハーキュリーは冷や汗をかきながら、もう銃器を触るのはやめておこうと、今度は投擲系の武器に手をつける。
投擲系で最初に目がついたのは、星型の刃物。
見た感じ、これは手裏剣とよばれる忍者の投擲武器だろう。

「ニンジャー、ニンジャー。ニンジャのハーキュリーでござるー」

などとハーキュリーはふざけてその手裏剣を投擲。
その手裏剣は、アルガントの頭のすれすれを通過して壁に刺さった。
なおいきなりハーキュリーに手裏剣を投擲されたアルガントは何事なのという顔をしている。

「ごめんなのだー」

そう言ってハーキュリーは壁に刺さった手裏剣を抜いて、ロッカーへと戻した。
その次にハーキュリーが取り出したのはスプレー缶に似たピン付きの何かと、同じくピン付きのパイナップルに似た鉄の何か。
その一方の缶の側面には

『爆発物 取り扱いに注意せよ』

と書いてあったが、ハーキュリーは気にせずにそれをまじまじと観察。
なお、これは両方とも手榴弾である。

「こっちは面白い形して…あっ」

パイナップルに似た方を上に放り投げるなどして遊んでいたハーキュリーだが、カチッという音がしたことに気付き、それを見るとなんとピンが抜けていたのだ。
ハーキュリーはそれを慌てて掴むと、窓の方へそれを思いっきり放り投げる。
すると、そのパイナップルに似た鉄の何かは窓ガラスを割って外へ。
次の瞬間、爆発音とともに煙が漂ってきた。

「わふ…これ直さないとゴルダに怒られるのだー」

煙をどうにか外へ追い出し、ハーキュリーはとりあえず魔法で窓ガラスを直してロッカーを閉めて何事もなかったかのようにする。
なお、この後ハーキュリーは帰ってきたゴルダにロッカーから手榴弾が1つ消えてるが知らないかと聞かれ、知らないと嘘を突き通してやり過ごしたという。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(交流) |

シアと風呂

その日、セイグリッドは夕方からの最高気温が0度という寒さを記録していた。
当然、シアの塔は寒いなんてレベルではなく何もしてなければ凍死まっしぐら。
そんな塔の上でゴルダは、エシュフィルトに言われて何もしなければ凍死するようなこの寒さの環境でなければ使えない魔法の練習に付き合っていた。

「どうだ?」

防寒のために首にマフラーだけを巻いているという風貌で、ゴルダはエシュフィルトに話しかける。
何かがあると困るので、一応シアにもサポート側に回ってもらってその魔法を試しているのだが、一向に成功する気配がない。
寒さという環境の条件は揃っているのだが、どうにも氷属性の魔法とエシュフィルトの相性が今日は悪いらしく、十数回挑戦して全て失敗に終わっている。

「エシュフィルト、これ以上やると何もしてないから体温的にもまずい。次で失敗したら今日はやめよう」

「成功するまでやるわ、もう一度行くわよ父さん」

「全く、言っても聞かない娘だ…」

次で失敗したら今日はやめるぞとゴルダが言ったのに対し、エシュフィルトは成功するまでやると断言し、ゴルダにスタンバイさせる。
それにゴルダは、エシュフィルトに聞こえない声量で独り言を呟いて構える。
なお、ゴルダの役割はエシュフィルトが放ったその魔法の威力を計測するというものだ。

「いいぞ、来い」

「っ…」

ゴルダが準備完了だという意思を示すと、エシュフィルトは詠唱の構えへ入る。
それをシアは北風に体毛を逆立てられながら静観、なんとも暇そうな表情をしていた。

「いける…!」

エシュフィルトはそう心の中で呟きながら、発動へと段階を移す。
今度は発動までは成功したが、問題は次の解放が上手くいくかどうかだ。

「!」

ここまで来たら解放も成功させねばと、エシュフィルトは目を見開いて魔法を解放。
すると、絶対零度の冷気がゴルダめがけて吹き荒れたが、それも一瞬。
数秒ふいたかとおもえば、すぐにその冷気は止んだ。

「なるほど、面白い魔法だな」

「ふう、やっと成功した」

どうにか成功してほっとしていたエシュフィルトが突然

「うっ、寒い…」

「相性悪い時に氷属性の魔法使ったからよ、すぐ風呂で温まった方がいいわ」

寒いと言い出したので、シアは氷属性の魔法を相性悪い時に使ったからだと言って風呂に入るように促す。
なお、この時シアはゴルダにも入るでしょ?という目をしていた。

「1人で入らせろ」

シアが言いたいことを察したのか、ゴルダは1人で入らせろと言う。
それを聞いたシアは、何だか納得がいかない顔で

「そんなに嫌?」

と一言だけ聞く。
それに対してゴルダは、なんだかんだと理屈をこねて一応断ったのだが

「まあ、いいから入りなさいよ」

と結局無理矢理入れられる事になった。

場所は変わって、セイグリッドの大浴場。
アルカトラスやシアの大きさでも入れるように造られているので、それくらいの大きさなら難なく入ることは出来る。

「やれやれ」

エシュフィルトとシアが先に入ったのを確認してからゴルダは風呂場へ入る。
実際の浴場内は、かなりの明るさを放つ石で作られた照明で照らされ、シャワーなどはなく掛け流しとなっていて、体などを洗う場所には天然の温泉水が流れ出ている。
これは石をくり抜いて作られた湯船の方も同じで、岩肌に開けられた穴から温泉水が流れ出、排水魔法で流れ出た湯などは全て所定の場所へと流されているという。

「もう湯に入ってるのか、早いな」

湯船の方では、かすかにシアの影が見えており、既に湯に浸かっていることが伺える。
だが、エシュフィルトの影は見えなかった。

「天然温泉水だと違うな」


ゴルダの家の水道は汲み上げなどではない純粋な水道水なので、ここの温泉水と湯の当たり具合が微妙ながらも全然違う。
そもそも、気にするほどのものではないのだが。

「よし、上がるか」

なお、ゴルダは滅多に湯船に浸かることはなく、大抵は体を洗って終わりなことが多い。
なぜ湯船に浸からないのかと理由を聞かれるとゴルダは必ずこう返す。

「いざという時どうする」

全くもってゴルダらしい返事と言えるだろう。
だが、今日は違った。
なぜならば、上がろうとした瞬間にシアが異次元の手でゴルダを湯船に引き寄せて入らせたからだ。

「おい」

「いいじゃない、たまには」

「そういう問題じゃない」

大抵こういうやり取りが起きるのは、ゴルダとシアの間ではいつものこと。
なお、ゴルダが引き寄せられたのはエシュフィルトと対面の方。
湯気がすごくて互いに姿ははっきりとは見えないが、今の状態はまさしく混浴。

「いい湯ねえ、でしょ?」

「知らん」

「あらあら」

やはりゴルダはシアには逆らえないのであった。

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