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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

はーたんの手伝いと2匹の緑毛

ハーキュリーがゴルダの元で暮らし始めて数日。
ゴルダが居ない時の家事は全てハーキュリーが受け持ち、ゴルダが帰って来たら2人でやるというローテーションを組んでやっている。
なお、ハーキュリーの家事力はゴルダも十二分に納得するものであった。
掃除洗濯は完璧にこなす上、料理もゴルダをもってして上手いと言わせるほど。
さらに、ゴルダの仕事である竜医の知識にも興味を持ち、ある程度なら補佐できるレベルの知識と技術をこの数日で身につけた。
そのため、ハーキュリーはゴルダに

「おまえは賢竜に匹敵する頭を持っているようだな」

などと言われたのであった。
それに対して、ハーキュリーは

「頭の良さならゴルダに負けないぞー」

頭の良さなら負けないと自負したという。

そして、ある日。
ゴルダはハーキュリーにこう言う。

「今日は竜医の仕事を少し手伝ってもらいたいんだが、いいか?」

「いいよ、何を手伝って欲しいの?」

竜医の仕事を手伝って欲しいと頼まれ、ハーキュリーはいいよと即答し、何を手伝って欲しいのかを聞く。
それに対して、ゴルダはハーキュリーに1枚のメモを渡す。

「1つめは、メモに書いてある薬を今から調合して用意しておいてくれ」

そのメモには薬の名前が羅列されていて、ハーキュリーでも調合できそうなものばかりだ。
ちなみに、メモに載っている薬はハーキュリーは全て本で調合法や素材も把握している。

「おっけー、ゴルダはどうするの?」

「また別に準備がある、頼んだぞ」

ゴルダはどうするのかとハーキュリーが聞くと、ゴルダは別に準備があると答えた。
ハーキュリーはそれにそっかと返し、自分は調合に取り掛かる。

「えーっと、必要素材は…」

いつもは不必要に入るなと言われている物置に入り、素材を準備するハーキュリー。
中には正気度が激減するようなものもあったが、ハーキュリーはそれを見ないようにしてそそくさと素材を取ると物置を出る。

「わふー…」

規定の量を計りとり、それらを専用の道具で混ぜ合わせるだけの薬だけなのだが、それでもやり方を1つ間違えるだけで全く違うものになったりするので注意が必要だ。
だが、ハーキュリーはこの辺りは抜かりがない。
料理も同じで、注意しないと失敗したりすることがあるからである。

「混ざったかな?」

本に書いてあることを思い出しつつ、ハーキュリーは調合し終えたものを確認。
結果的にはそれで大丈夫だったので、次なる薬の調合へ。
そして、全ての薬を問題なく調合し終えることができた。

「ゴルダー、できたぞー?」

「そうか、じゃあ包んで粉末薬を持ち歩くケースに入れておいてくれ。行くぞ」

「行くぞー」

ゴルダにできたことを報告し、ケースに薬を入れるように指示されたハーキュリーは、薬をケースに入れてゴルダと家を出た。
その際、ハーキュリーはゴルダを乗せるか抱くかして移動しようとしたが

「ゴルダ重いぞー…」

「これでも標準体重だ」

予想してたよりもゴルダが重かったので、断念せざるを得なかった。
なお、ゴルダにはこれでも標準体重だと突っ込まれた。
だがそれを差し引いても、ゴルダが重いことには変わりないので結局は座標指定テレポートで移動することに。

「わふ?ここお城だぞ?」

「全くもってその通りだ」

座標指定テレポートでやって来たのは、セイグリッドとはまた違う城の庭園。
具体的に何が違うのかといえば、この城の庭園には畑が隅の方に作られていたりするくらいだろう。

「ここどこの国のお城なのだー?」

「会えば分かる」

「わふ?」

どこの国のお城なのだ?とハーキュリーに聞かれるも、ゴルダは会えば分かると言って答えない。
それにハーキュリーはきょとんとして、羽耳を掻く。

「いらっしゃい」

「ああ、どこに居るんだ?」

ゴルダとハーキュリーにそう話しかけてきたのはイレーヌだったが、ハーキュリーは全くもって初見であり、イレーヌの種族すらよく分かってない。
唯一分かったのは、ゴルダと同じくこの女性が少なくとも人間ではないということだけだ。

「どちら様なのだ?」

「イレーヌだよ、ハーキュリー。ここの国王のアルガティアの双子の妹」

「わふわふ、よろしくなのだ」

イレーヌをじっと見て、ハーキュリーがどちら様と聞いたのでゴルダはイレーヌだとハーキュリーに紹介。
ハーキュリーは、よろしくなのだとイレーヌに頭を下げた。
その後は、ゴルダとイレーヌに次いでハーキュリーは牛舎のような建物へと入る。
その牛舎のような建物の中には5匹ほどだろうか、草食と思わしき竜が飼われていた。

「わふ?この子たちは?」

「主に乳を搾ったりするための家畜の竜だ。草食だからと侮ってると痛い目にあうぞ、こいつら結構力強いからな」

「へえー」

ハーキュリーがこの竜たちについて聞くと、ゴルダはおもに乳を搾ったりする家畜竜だと答える。
それにハーキュリーは、別の世界にはこんな竜も居るのかとただただ頷くばかりであった。

「思った以上に重症だな」

「傷が膿んでてどうしようもないのよ」

その中で、1匹だけ隔離されている竜が居た。
ゴルダとイレーヌの話から、この竜はなんらかの原因で負った傷がひどく化膿してこうなっているのだとハーキュリーは察す。

「だが、もう打つ手がないわけではない」

「どうやって治療するの?」

「…ハーキュリー、お前にはどきつい光景を見せることになるだろうから、見ないほうがいいいぞ」

どうやって治療するのかと、ハーキュリーがゴルダに聞くと、突然ゴルダはそれを見ないほうがいいと忠告
する。
それになぜかとハーキュリーが問いただしたところ、ゴルダは

「化膿している部分を切り開く必要があるからだ」

とストレートに返す。
それにハーキュリーはビクッとして、すぐに背を向けて薬などの準備を始める。
それと同時に、イレーヌは牛舎ならぬ竜舎から出て行ってしまった。

「メス出してくれ」

「ほ、ほい」

ゴルダにメスを出せと言われ、ハーキュリーはゴルダが出していた器具箱からメスを出して後ろ手でゴルダに渡す。
もちろん、ゴルダの方には一切振り返らない。

「生理食塩水だ、あと聖水」

「わふほい」

こんな調子のやり取りを30分ほど続け、ゴルダとハーキュリーは治療を終えた。

「もう振り向いてもいいぞ」

「わ、わ、わふ…?」

ゴルダに振り向いてもいいぞと言われ、ハーキュリーは恐る恐る振り向く。
そこには、治療を終えて幹部に包帯を巻かれた竜の姿があった。

「あー、良かった」

「治せたということが、医者にとっては何よりも大事だ」

ゴルダのその一言に、ハーキュリーは妙に納得したという。

「わふ、大きいぞ?」

「20メートルはあるからね」

それから、庭園へと戻って手近の椅子に一緒に座ったゴルダとハーキュリー。
その目の前には、イレーヌと緑毛の竜ことエゼラルドが座っている。
ハーキュリーは、エゼラルドにかなり強い興味を示しているらしく、イレーヌとゴルダはそっちのけ。

「なんなら少し遊んでこい」

「いいのかー?」

「いいいわよ」

ゴルダにエゼラルドと少し遊んでこいと言われ、ハーキュリーはいいのかとイレーヌに聞く。
それにイレーヌはいいわよと言い、エゼラルドも軽く頷く。
するとハーキュリーは、すぐさまエゼラルドとどこかへ行ってしまった。

「楽しそうな奴だ」

どこかに行ってしまったハーキュリーを見て、ゴルダはそう呟いたとか。

「何するのだ?」

「うーん、何しようか?」

エゼラルドと畑の前まで来たハーキュリー、何をしようかとエゼラルドに聞く。
それにエゼラルドは、何をしようかと返しただけで特に何も考えてないらしい。
するとそこへ、エゼラルドとハーキュリーよりも小さい別の緑毛の何かがやって来た。
その緑毛の何かは、ハーキュリーをじっと見つめてからエゼラルドに誰こいつというようなことを聞く。

「うーん、よく分かんないけどゴルダのところに訳あって暮らしているみたいだよ。名前はハーキュリー」

「そ、私はイファルシアよ。見ての通り草のカーバンクルよ」

「かわいいぞー」

エゼラルドやハーキュリーよりも小さい緑毛の何かは、名をイファルシアと名乗って手で何かを丸めるような仕草をしてなぜかトマトを出した。

「わふ?」

「これはトマト、甘いのよ?」

ハーキュリーは、イファルシアの甘いという言葉をすんなり信じてその赤い実を頬張った。
だが次の瞬間、ハーキュリーの口の中に広がったのは名状し難い味と酸っぱさ。
そしてハーキュリーはなんとも言えない顔をして

「そのまま食べるものじゃないのだ」

と言ったとか。
なお、これにイファルシアは何も言わずにただニヤリと笑い、トマトを食べた以外は何の反応も示さなかった。

「ぬーん…」

その後、エゼラルドが季節外れのシロツメクサを出したので冠を作り出したハーキュリー。
だが、自分の元々いた世界に自生していたシロツメクサとは違い、癖はあるわ茎は硬いで冠にするのに少々手間取っていた。
なお、エゼラルド自身は自分で蔦を出して籠を器用に編んでいた。
その一方で、イファルシアは何かを彫っている。

「手慣れなのだ?」

「暇な時によく作るから慣れてるよ。簡単簡単」

エゼラルドの作り上げた籠を見て、ハーキュリーは手慣れなのかと聞く。
それに対してエゼラルドは、暇な時によく作るのでこれくらいは簡単だと話した。
それを見たハーキュリーも、試しに何か編もうとする。
するとイファルシアが異常に長い蔦を数本出して

「ロープでも編んでみる?洗濯物を干すためのやつを」

ハーキュリーにロープを編んでみるかと聞く。
それにハーキュリーは乗ったという顔をして、作ってみることに。
だが、実際に編んでみると

「むーっ」

ロープを作るためには、蔦同士を強く寄り合わせなければならないのだが、力加減が分からないハーキュリーは、何度も失敗していた。
しかし、それを見かねたエゼラルドにコツを教えてもらってなんとか作り上げることができた。

「結構大変なのだ」

こうしてハーキュリーは、蔦編みのスキルを会得した。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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