FC2ブログ

氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

氷花竜を追って

話は少し時間を遡り、今年。すなわち大陸歴3014年の3の月の頃。
ゴルダはこんな依頼を受けた。

「氷花竜という狼竜の一種がこの時期のリヴァルスの雪原に出没しているらしい。その姿を写真に収めてほしい」

依頼主は、いわゆる幻想生物学者の端くれで、あまり姿を見ることができない珍しい竜族の研究をしているのだという。
ちなみに、氷花竜とは前述したように狼竜の一種で幼竜と成竜のメスだけが左耳の辺りに氷花というまた別に存在する花を咲かせている竜である。
その色などは個体によって様々で、同一的なものではない。
なお、オスはその氷花を自らが歩いた後に咲かせることができる能力を持っている。

そして、氷花とは雪の結晶がそのまま花になった植物。
リヴァルスなどの寒い気候でしか育たないので、栽培しようと思ったらそれなりの設備が必要だという。
その花自体は凍傷になるほど冷たく、花は枯れるのではなく溶ける。
また、解熱剤の材料にもなるので、風邪の薬としても重宝されるが、花自体がすぐ溶けるので扱いが難しい。

「本当に撮るだけか?」

ゴルダは、依頼主にそう確認した。
なぜ確認したのかというと、時たまついでに狩って来いなどという輩も少なからず居るからだ。
依頼主は、その問いに首を横に振って

「まさか、そんなことは言いませんよ。本当に写真だけでいいんです」

本当に写真だけを撮ってきて欲しいと改めて依頼。
依頼主が嘘を言っていないと確信したゴルダは

「分かった、引き受けよう」

依頼を引き受けることにした。

翌日、ゴルダは寒冷地用の対策を施したカメラとその他の荷物を持ってリヴァルスへと入る。
リヴァルスの3の月はまだ冬が残っていて、全く読めないブリザードが吹くこともある。
なので、それに注意しながら移動しなければならないのだ。

「…引き受けたはいいものの、どこにいるのか皆目見当もつかんな」

気象情報と地図にGPSがリンクしている携帯端末を片手に、時折双眼鏡を覗きながら歩いていたゴルダはふとそんなことを呟く。
氷花竜は、確かにこのリヴァルスの雪原にこの時期だけに出没するのだが、具体的にどの辺りに出没するというのまでは分からない。
しらみつぶしに歩き回って探すのもいいが、それだとリスクが高い。

「あまり気安く呼ぶのも何だが、この際仕方ない」

結局ゴルダはどうしたのかというと、かなり大きめに口笛を吹いた。
ちなみに、これはリヴァルスウルフを呼び出すための口笛である。

「ようお前ら、シェリスのところ連れてってくれ」

そのまま数分ほど待っていると、どこからかリヴァルスウルフがやって来てゴルダを何か用か?という目で見る。
ゴルダはそれに対してシェリスのところまで連れて行くように頼む。
すると、リヴァルスウルフはこっちだと背を向けて走り出す。

「相変わらず走るのが速い奴らだ」

ゴルダはその後を追った。

「あらあら、久しぶり」

「お前も相変わらずで何よりだ」

そのまま30分近く走り、ようやくシェリスの所までやって来たゴルダ。
挨拶もそこそこに、ゴルダはシェリスにこう切り出す。

「氷花竜を知らないか?」

「ああ…あいつらね。知ってるわ、何か用でもあるの?」

氷花竜を知らないかと聞いたところ、シェリスからは知ってるわと意外な返事が返ってきた。
そこでゴルダは氷花竜ととりあえず会いたいと言うことを、シェリスに話す。
するとシェリスはゴルダに近寄って、訳も分からず匂いを嗅ぐと。

「じゃ、ここでしばらく待ってなさいな」

と言ってどこかへ行ってしまう。
その間、ゴルダはしばらく休憩しつつも仔狼と遊んでいた。

「とりあえずこの近くにいるのは見つけたわ、でもなんだか神経質になってたから刺激しないようにね」

それから1時間くらい経っただろうか、シェリスが戻って来てこの近くにいると教えてくれた。
だが、神経質になっているので刺激しないようにと忠告された。
それに対して、問題はないと言ってゴルダは氷花竜の元へ。

「ほう、あれが氷花竜か」

シェリスのところを離れ、その周辺を探していたゴルダ。
氷花竜は確かにその周辺に居た。
最少単位の群れなのか、十数匹しかその姿は確認できない。

「さてと、やるか」

望遠レンズのついた一眼レフカメラを取り出し、ゴルダはその場でしゃがんで撮影を開始。
氷花竜の周りには氷花が咲き誇り、オスがメスと子供を囲むようにして守っている。
オスが時折地面を蹴るたびに、氷花の咲いている範囲がどんどん広がっていっているのも確認できた。

「もう少し近寄れるか?」

しゃがみ姿勢からの匍匐前進で、氷花竜との距離を縮めることを試みるゴルダ。
だが、あまりにも近寄りすぎてオスの索敵範囲に入ってしまったようでオスに威嚇されてしまう。

「おうおう、落ち着け。お前らを狩りに来たわけじゃない」

その場で立ち上がり、カメラをしまってから氷花竜にそう言うゴルダ。
オスはしばらくゴルダを威嚇していたが、ゴルダの目をじっと見ているうちに威嚇をやめ、変なことはするなよという目線を投げかけてきた。
それにゴルダも、改めて変なことはしないと言ってメスと子供の方を撮影。
メスの方も最初はゴルダを警戒していたが、自分たちを狩りに来たわけではないと分かると逆に興味深そうに見つめてくるようになった。
だが、ゴルダは写真に収めるというのが依頼だったために余計なことはせずに写真だけを撮って帰った。

そして、ゴルダが依頼を終わらせてから数日後。
報酬も貰ってもうあの件は関係ないといつものように過ごしていた時だった。

「氷花?なんでこんなところに咲いてんだ?」

家の中に置いてあった空の植木鉢に、ひっそり氷花が咲いていたのだ。
しかし、氷花はリヴァルスのような寒い場所でしか生えないし育たないはず。
それを考えても、こんなところに咲いているのはあまりも不自然だ。

「氷花竜からのメッセージなんだろうか」

ちなみにこの氷花、今でもずっと溶けずに咲き続けているという。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(一次) |

浮遊土玉を作ろう

ある日のシアの塔。
そこでシアとイファルシアという珍しいコンビが何かをしていた。
2人の前には、観葉植物と果実の木と思わしき木の苗。そして蔦で作った紐と何かの繊維を編んだ布。
そして砂と土が置かれているが、これは砂を土へ錬成変換している最中だ。
一体何をしているのか?それは浮遊土玉と呼ばれる植木鉢などが要らないある意味画期的な植え方の準備だ。

「それ全部土に変換しちゃって」

「そのつもりよ」

シアが砂を土に変換している間、イファルシアは浮遊土玉本体を作っていた。
浮遊土玉は、それに植える植物やその植物がどれくらい成長するかで大きさを変える。
例えば花や観葉植物程度なら草食竜の卵くらいの大きさで十分。
しかし、これが木の苗ともなると土地が作れるくらいの大きさになる。

「果樹の苗はリンゴと杏と…何これ?」

「それ?パッションフルーツ」

あまり見たことのない果樹の苗を見つけ、イファルシアがシアに何の苗かを聞いたところ、パッションフルーツという答えが返ってきた。
イファルシアはそれを聞いて、突如どこからか太めの木の杭と棒を取り出して横へ置いてから花をどういう配置で植えるかを考え出した。
その間にも、シアは砂を土に変換し終え、団子でも作るようにしてその土を丸め始める。

「大きさはこれくらいでいいかしらね」

シアが手始めに作ったのは、果樹の苗を植えるためのかなり大きい土玉。
直径は大体2メートルくらいだろうか、イファルシアよりも遥かに大きい。
その土玉にあの布を巻き、蔦で作った紐で巻く。
これであとは苗を植えて永久浮遊の魔法を使えば完成だ。

「うーん…」

一方イファルシアは、何をどういう風に植えるかを悩んでいる様子。
なお、とにかく植えてしまえばいいのにという短絡的な考えはイファルシアには通用しない。
その辺は、さすがは草のカーバンクルといったところだろうか。

「何やってんの?私も暇じゃないから早く終わらせたいんだけど?」

悩んでいて全然作業の進んでいないイファルシアに、シアは自分も暇ではないので早く終わらせたいと言う。
それにイファルシアは耳を貸さず、なおも悩んでいる。
さすがにシアもこれには

「ああもう、いいから貸しなさいな」

と痺れを切らしてイファルシアをどかし、これはこうと勝手に土玉に植えていく。
作業を横取りされたイファルシアは、特に文句は言わずにあーあという顔をしている。

「ま、こんなもんよね」

「なんか微妙だわ」

シアのやった配置は、一見いいようにも見えるが、イファルシアから見ると微妙らしい。
ちなみに、何が微妙なのかはイファルシアは教えなかった。

それから大体2時間後。

「よし、これで全部ね」

「苗木は一気に成長させるの?」

「そうよ、だって杏食べたいし」

どうにかして土玉に植え終えたので、あとは永久浮遊の魔法を使うだけなのだが、ここでいwはシアに果樹は一気に成長させるのかと聞く。
するとシアは、そうよと答えて杏をすぐにでも食べたいからだと言う。
それにイファルシアはやれやれねと返す。

「ぬぬぬ…」

「まだできないの?」

シアが自分の分の浮遊土玉を全て浮遊させ終えた後も、イファルシアは尚も浮遊させられずにいた。
それを見たシアはすぐに呪文が違っていることに気付くが、あえて教えない。

「できない?」

「おっかしいわね」

その後も1時間は試行錯誤していたが結局できずじまいで、イファルシアはシアにやらせたという。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(一次) |
| HOME |