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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

メリエル、ゴルダの家へ行く


「へえ、ここがゴルダの家なの」

民家の全くない農村部にぽつりと建つ家の前で、メリエルはそう呟いた。
なぜメリエルがこんなところに居るのかというと、シアにゴルダの家はどこなのかを聞いてやって来たからだ。
理由はそれだけで、他には特にない。

「で、当の本人は留守なようね」

家へやってきたのはいいが、家主であるゴルダは留守。
帰って来るまで待っていようかとメリエルは悩んでいたが、その必要はすぐになくなった。
なぜならば、ゴルダが馬のようでそうではない雰囲気を放つ馬に乗って帰って来たのだ。

「よくここが分かったな、上がって待ってろ」

その馬から降りたゴルダは、メリエルに上がって待ってろと言う。
一方、上がって待ってろと言われたメリエルは面食らったような顔になって

「えっ?鍵開けっぱなし?」

と確かめるように聞く。
するとゴルダは頷いて

「ああそうだ、こんな辺境の地にまで泥棒が来ると思うか?」

こんなところに泥棒が来るか?とメリエルに聞く。
メリエルはそれに反論できずにうぐぐと言った後で家の中へと入った。

「ふーん、綺麗なのね。男の割には」

玄関を入ってすぐが居間と繋がる台所というゴルダの家の中を見て、メリエルは綺麗なのねと感想を漏らす。
なぜならば、台所の流しには汚れた食器は積み重ねられておらず、しかも汚れた衣類がそこら中にほっぽらかしになっていなかったからだ。
だが、居間のテーブルの上は雑誌などで若干散らかってはいたがこれは誤差の範囲である。

「よいしょ」

メリエルは、ゴルダに断りを入れることもなく居間のソファに座る。
だいぶ古いものなせいか、座り心地は今一つだ。
居間にはテーブルとソファ以外に、暖炉や本棚、そして異界文明の本でしか見たことのないテレビがドンと置かれている。

「お前はなんでまたこんなつまらん場所に遊びに来たんだ?シアのところ行けばいいものを」

「それはないでしょうそれは…人がせっかく遊びに来たのに。あと今日はシアは忙しいって言われたの」

ゴルダはメリエルに、なぜこんな場所に遊びに来たのかというのと、遊ぶならシアが居るだろと言う。
それにメリエルは、人がせっかく遊びに来たというのと言ってから、シアは今日は忙しいと来た理由を話す。
ゴルダはそれを聞いて、ああそうかという顔をするとどこかへ行ってしまった。

「人がごった返してない所もたまにはいいかなと思って来たんだけどなあ」

どこかに行ったゴルダを探しながら、メリエルはそう独り言を言いながら本棚の方へ。
特にこれといって面白そうな本はなく、魔法書や竜医学や幻想獣医学の専門書がぎっしり収められているだけだ。
一応、サフィから竜医学などの本は借りて読んだことはあったのだが、天才を自称するメリエルでも簡単とは言えない内容だった。

「漫画とかは無いのかしら?」

何か興味を引きそうな本はないかと探していたメリエルは、ある一冊の本を発見。
タイトルは異界の言語で書かれており、どんな本かは分からない。
しかし、メリエルはすぐにこの本を開いたことを後悔した。
あえて内容は伏せておくが、普通の人間が読めば正気度がごっそり持っていかれるような写真が羅列された本だったのだ。
どうやら、解剖学の類の本だったようだ。

「うげぇ…気分悪くなっちゃったわ」

その本をすぐに本棚に戻し、メリエルはまたソファへ戻る。
すると、ようやくゴルダが戻ってきた。

「どこ行ってたのよ!?」

「人がせっかく好物買ってきてやったのにその態度は何なんだ全く」

人を待たせておいてと、語気を強めてどこに行っていたのと聞いたメリエル。
それにゴルダは、水羊羹の入った袋を見せてからその態度は何なんだと返す。
さすがにメリエルもそうと分かると

「ご、ごめん…」

「もういい、そういう態度取られるのには慣れっこだ」

一応ゴルダに謝ったメリエルだが、ゴルダはそんな態度をされるのには慣れていると寛容さを露わにした。

その後、ゴルダは抹茶入りの緑茶を煎れて水羊羹と共にメリエルに渡す。
ちなみに、この際のメリエルとゴルダの姿勢は互いに正座の状態だ。

「ところで、ここに1人で住んでるの?」

「今はそうではもないが、昔は1人で住んでいた」

「あんたが乗ってたあの馬みたいなのもここに住んでるの?」

二三話をしていると、メリエルはゴルダに乗っていた馬のことを聞く。
するとゴルダは一応ここに住んでいると答えた後で

「一応言っとくが、あいつは麒麟の一種だぞ?名は氷麟だ」

馬ではなく麒麟であることと、名をメリエルに教えた。
するとメリエルは

「じゃあ乗せて、いいでしょ?」

と単刀直入に氷麟に乗せて欲しいと言う。
それにゴルダはうーむという顔をした後に

「凍るかもしれんから注意しな」

と言って、メリエルに表で待っているように言う。
メリエルはそれに頷いて表へ出た。

表で待っていると、銀っぽいたてがみと体色の馬がやって来た。

「やあ、ゴルダから話は聞いてたよ」

「氷麟って、本来の姿じゃない時は馬と瓜二つなのね」

「でも、力はそれなりにはあるよ」

これまた二三話をしてから氷麟に乗ったメリエル。
だがその瞬間、メリエルはあっという間に凍ってしまった。

「おい」

「いやあ、ちょっといたずらしたくなっちゃってね」

「やり過ぎだ」

案の定、氷麟のいたずらだったのだが、ゴルダはこれをやり過ぎの一言で一蹴。
メリエルはこの後風呂場で数時間かけて解凍されたという。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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