FC2ブログ

氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

聖以外の属性の医療魔法

常に一定の環境に保たれ、梅雨でも蒸し暑くないシアの塔。
そこで今日も真面目にエシュフィルトは鍛錬中。
だが、つい最近からはセイグリッド王立大学の魔法学部医療魔導学科へ行くことを目指し、そういう勉強も欠かしてはいない。
そんな中、シアがどこからか入手してきた王立大学の医療魔導学科の入試の過去問に挑戦していると、エシュフィルトはこんな問題で詰んだ。

「聖属性以外で、主に医療目的で使われる属性魔法を書け」

古くより、聖属性の魔法しかやってこなかったエシュフィルトにとって、この問題は解けないに等しかった。
しかし、エシュフィルトもただ出来ないで済ませるような精神の持ち主ではない。

「あれれ?ないなあ」

シアに読んでいいと許可されている本棚を探り、その系統の本がないかを調べるも、それらしい本はない。
シアに聞こうにも、今日はアルカトラスの代理で留守にしており、アルカトラスもそこまで暇ではない。
ではどうするか?エシュフィルトは何かを思いついたかのようにある者の家へ向かう。

場所は変わって、ドランザニア中部のゴルダの家。
今日も相変わらず暇そうにしつつも、畑仕事をしている所へ

「へえ、ここが父さんの家かあ」

「…さてはシアにここを教えてもらったな?まあいい、上がれ」

エシュフィルトがやって来た。
ゴルダはそんなエシュフィルトを見て、どうせシアから教えてもらったのだろうと家へ上げる。
家に上げてもらったエシュフィルトは、ゴルダに例の問題を見せてこれが分かるような本はないかと聞く。
だが、ゴルダは知らんと即答した。
これにエシュフィルトは少しがっかりしたような顔をしたが、ゴルダにアルガティアの所へ行けば何かしら教えてもらえるだろうと言う。
ちなみに、エシュフィルトはアルガティアのことはゴルダから話を聞いたぐらいで、実際に会ったことはない。
その聞いた話とは、アルガティアはゴルダの従姉妹であること、聖リフィルという島国と呼ぶには領土が広い国の女王だということぐらいだ。
父さんが知らないならと、エシュフィルトは今度はアルガティアの所へ向かった。

リフィルまでは、座標指定テレポートを使用して向かったエシュフィルト。
着いた先は、城下町でも城にほどよく近い位置で、すぐ目の前には城門も見える。
しかし、さほど規模が大きくないことに気付いたエシュフィルトは

「アストライズは屋敷だったから、まだこっちの方がいいのかもね」

などと、自分の生まれ育った国の国王が住む場所をリフィルの城と比較して皮肉るように呟く。
そして城へ入り、アルガティアを探していると庭でのほほんとしている姿を発見出来た。

「こんにちは」

「エシュフィルト、だったかしら?」

声をかけるや、アルガティアから名の確認をされたのでエシュフィルトはそうですけどと答える。
アルガティアはその返事には何も答えず、不思議そうにエシュフィルトを見つめる。
しかも、見つめているのはアルガティアだけではなく、その頭の上に乗っている緑のカーバンクルまでこっちを見ているのだ。

「ゴルダに本当に娘が居るとはね」

その緑のカーバンクルは、唐突にそんなことを呟く。
これまた、エシュフィルトはこのカーバンクルがゴルダに聞いていたイファルシアだというのを思い出して

「本当よ、イファルシアちゃん?」

少しからかうように緑のカーバンクルことイファルシアをちゃん付けで呼ぶ。
それにイファルシアは、特に機嫌を悪くするわけでも何か言い返すわけでもなくじっと見ていた。

「そうそう、私に何か用?」

ここで、アルガティアはエシュフィルトに自分に何か用があって来たんでしょと、何か用かと聞いてきた。
それにエシュフィルトは、ゴルダにも見せた問題を見せる。
アルガティアはそれを3秒ほど見てから、どこからか「医療魔法全集」という本を出して、エシュフィルトに貸すと言う。

「えっ?いいの?ありがとう」

礼を言って、エシュフィルトはその場で読んでみることに。
内容はそれこそ全ての診療科を網羅し、さらにそれが各属性ごとにもまとめられているというものだった。
その後エシュフィルトは帰宅し、その本を穴が空くほどに読んだ。

「あら?なんだろうこの魔法?」

そんな中、エシュフィルトの目に1つ魔法が目に留まった。
それは、脳神経外科の項目のある風属性の魔法。
内容は

「脳神経へ非常に弱い電流をある信号として流し、記憶の復活を行う魔法」

というもの。
エシュフィルトは一瞬これを使えばとは思ったが、すぐにその考えを改めた。
なぜかというと、現実はそう簡単に行くはずもないから。
だがしかし、エシュフィルトはいずれはゴルダの記憶を全て復活させるつもりでは居た。
そう、医療魔導師となり、本当の意での癒術師となって。
そのためにも、今は医療魔導学科へ行こう。
エシュフィルトは改めてそう決心したのだった。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(一次) |
| HOME |