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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

実娘と鍛錬

今日はシアからではなく、エシュフィルトから呼び出されてセイグリッドへ来ているゴルダ。
塔へ行ってみれば、エシュフィルトには相変わらずのローブ姿で出迎えられた。
なお、今日はシアはアルカトラスと重要な用事があるので今日は居ないらしい。

「魔法の鍛錬に付き合ってね、父さん」

「…ああ」

鍛錬に付き合えと言ってきたエシュフィルトに、ゴルダは生半可な返事を返す。
いくらエシュフィルトが自分の娘だとシアから証明されても、ゴルダの気持ちはとても複雑だった。
己の記憶がすっぽ抜けているというのもあるし、何よりこの現実を受け入れがたいというものがある。
しかしそれでも受け入れなければ、前に進む事など不可能なので、こうやって徐々に関わりを持っていくしかないのだ。

「まず瞑想からね」

2人が最初に行ったのは、瞑想。
ゴルダは地面に座禅を組み、エシュフィルトは自分の杖に座ってからそれぞれ瞑想を開始。
開始から5分もすれば、2人とも浮遊したまま安定した状態で瞑想を維持することが可能となっていた。
開始から30分、ゴルダの方は座禅を組んで浮遊したまま動き始め、エシュフィルトはゆっくりながらも杖に乗って浮遊したまま回転。
これらにさしたる違いは無いものの、それでも集中の程度が知れてくるという。
瞑想はその後1時間ほどで終わった。

「父さんって瞑想そこそこできるのね」

「なんだその言い方は」

瞑想がそこそこできるのねとエシュフィルトに言われ、ゴルダは嫌味か?という顔をしながらそう返す。

そして次は無声詠唱、これも集中力を要するものなのだが、瞑想の倍以上とも言われている程に集中力を要するものである。
なので、この鍛錬は長時間行なうことが極めて困難なのだ。
最初に互いに無声詠唱に使う呪文を選ぶのだが、この時点でゴルダはそんなに難しくは無い呪文を、エシュフィルトはかなりハイレベルな呪文を選択した。
この場合、そんなに難しくはない呪文で無声詠唱の鍛錬をする場合は入門あるいは集中力の持続性の鍛錬のために、ハイレベルなものでやる場合は集中力の極限を目指すためにやる鍛錬というのが多い。

「いくぞ」

「いつでも」

こうして2人は無声詠唱の鍛錬を開始。
開始してほんの数十秒でゴルダはあっちこっちにテレポートし始めたものの、エシュフィルトは杖を構えた姿勢のまま動かない。
しかし、開始から3分ほどした時だった。
突然エシュフィルトが光ったかと思えば、宙に飛び上がってバレーボール大の光弾を作り出したかと思えばそれを地面へ向かって投げつけたのだ。

すると、地面に衝突した光弾は10秒ほどして何百の光の矢となって四方八方に飛んで行った。
どうやら、設置時限式のかなり高威力の魔法矢を放つ呪文だったようだ。
その後は、集中力を回復させるための小休止を取る。
こうでもしないと、無意識のうちに消費した集中力を酷使することとなり、とても危険だからだ。

小休止を終えると、今度は1つの魔法弾を互いに打ち返すという鍛錬に移る。
これは、防御魔法の基礎鍛錬の一種になるほど大切な鍛錬である。

「行くよ?」

「来い」

エシュフィルトが出し、杖で打ち放った魔法弾を、ゴルダは常に常備している片手剣打ち返す。
当然、片手剣には魔力が張られており、そうでないと打ち返すことはできない。
それからどれくらい打ち返し合いを続けていただろうか。
ふとゴルダは、自分でも無意識のうちによそ見をしてしまい、エシュフィルトが打ち返して来た魔法弾をまともに食らって吹っ飛んだ。
そして、その吹っ飛んだ瞬間、ゴルダの脳裏にある映像が浮かぶ。
それは、ゴルダが今の見た目より大分小さい、大体10歳前後のエシュフィルトと別れようとしているものだった。

「俺は仕事でお前と離れないとならん、しかも次にいつ会えるかも不明だ。だがいずれ必ず会える日は来る、分かってくれ」

「信じるよ、父さん今まで私に嘘ついたことないもの」

この会話を交わし、自身がエシュフィルトに背を向けた瞬間にゴルダは我に返って体勢を立て直し、塔の上から転落するのを寸前で回避した。
それを見ていたエシュフィルトは、杖に乗ってゴルダに近づくと

「父さん、大丈夫?どうかしたの?」

「問題ない、大丈夫だ」

エシュフィルトに大丈夫なのかと聞かれ、ゴルダは問題ないと答えてふうと一息つく。
この後は何事もなく打ち合いを終え、鍛錬は終わったという。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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