FC2ブログ

氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

レナとサフィにサマカンドラ-手入れはお任せ

春の風の強い晴れたある日、レナはセイグリッドに1人でやって来ていた。
万年桜は花から葉へ変わりつつあり、初夏の気配もわずかながら見えつつある。
アルガティアに作ってもらったマントをなびかせ、城の中を歩いていると

「こんにちは、アルカトラスお爺さんのお知り合いよね?確かレナという名前で?」

紅い目と髪のメイドが声をかけて来た。
レナはこのメイドを知らないが、相手は自分のことを知っているらしい。
どういうことだろうと、レナが少し考えていると今度は紫髪のメイドがやって来て

「あら、アルカトラスとシアの知り合いのレナじゃないの。いらっしゃい、あいにく今はシアもアルカトラスも手が離せないわ」

挨拶をし、アルカトラスとシアは今忙しいと言う。
何故自分のことを知っているのだろうかと、レナが少しぽかんとしていると

「えーっと、私はサマカンドラよ。兄さん…ゴルダのことは知ってると思うけど、その妹です」

紅い髪のメイドの方が名乗って来た。
それに次いで、紫髪のメイドも同様に

「サフィ=アルヴォールド、ここのメイド。従者全員を束ねている存在で吸血鬼と吸血竜のハーフよ」

サフィと名乗る。
だが、レナはサフィが吸血鬼と吸血竜のハーフだと聞いて

「えっ…!?」

と耳を光らせて驚く。
サフィはそれを不思議がって

「その様子じゃ知らないようね?」

やんわりとした口調でレナに聞く。
それに対して、レナは軽く頷いて

「あはは、でも無理に知る必要はないよね」

吸血竜と吸血鬼について知る必要はないかなと言う。
サフィは、そう?と本当に知らなくていいのと言いたげな顔をする。
その顔を見たレナは、また軽く頷く。

「それより、毛が風でボサボサね」

今居る場所は、風に吹かれない場所だが話をする前はレナは風に吹かれていたので、サマカンドラが言ったとおりレナの体の毛はボサボサだ。
サフィに鏡で体の様子を見せられ、レナは思わず苦笑いした。

「今暇だし、このくらいなら手入れできるわ」

「そうね、こっちいらっしゃい」

2人はレナを連れて、メイドを含めた従者の更衣室へ連れて行く。
セイグリッド城の従者の更衣室は男女共用で、それぞれが気を使って使用している。
当然、メイド用に最低限の化粧台は備え付けられている。
サマカンドラとサフィは、その前にレナを座らせた。

「あれ?シアに使ってる櫛は?」

「持ってるけど」

少しドキドキしながら待っているレナを、サフィとサマカンドラはああでもこうでもないと言いながらも黙々と手入れをしていく。
10分ほどで、レナの体の毛は元通り以上にきれいになった。
それを、サフィが鏡を見せて確認させてくれたのでレナは

「ありがとう、もう大丈夫」

2人にもう大丈夫と言って礼も言う。
サマカンドラは気に入ったなら何よりとニコッと笑いながら言い、サフィは暇だったらいつでもやるわよと言った。
こうして、レナサフィとサマカンドラとも知り合いになったのであったのだ。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(交流) |

サマカンドラとアルカトラス-書類処理の手伝い

風が強く、雨もそれなりに降っている昼前。
新年度も始まり、忙しさも以前通りに戻ったアルカトラスはサマカンドラをヘルプにして書類の片付けなどに追われていた。
だが、書類の片付けはほとんどサマカンドラが行ない、アルカトラスのサインが必要なものなどはアルカトラス自身が片付けるなど、役割分担は出来ている。
サマカンドラが欠けて、メイドの方の仕事は大丈夫なのかと言うと、問題はない。
なぜなら、新年度に入る前にアルカトラスが新たに3人ほど雇い入れたからだ。

「すまぬな、この山の書類だけは今日中に片付けないといかんのだ」

「大丈夫、この手の仕事も慣れてるから」

アルカトラスに謝られたサマカンドラは、大丈夫だと答えた。
サマカンドラは前に居た世界では、メイドの仕事の他にこのような事務的な仕事もそれなりにこなしていたこともあった。
その経験が、今このようにして生かされている。

「これは終わったわ」

「ではこの調子で残りもお願いします、陛下がサボらないようにもさせてくださいね?」

側近に片付け終えた書類を渡すサマカンドラ。
書類を受け取った側近は、アルカトラスがサボらないようにもさせるよう言って書斎を出る。
ここで、サマカンドラはアルカトラスの方を見た。
アルカトラスは、サマカンドラが居るせいか尻尾をパタパタさせながら自分がサインをする必要がある書類に黙々とサインをしている。
書斎の窓の外は、相変わらず雨は止んでおらず土砂降りの雨音が響いていた。

それから15分後。
サマカンドラは軽く伸びをし、残りの書類を確認。
今日中に片付けるべき書類で残っているのは、5分の1くらいでそこまで苦ではない。
よしと、サマカンドラは自分に言い聞かせると残りにラストスパートをかける。
ここでアルカトラスは、すでに全てのサインすべき書類へのサインを書き終えて別の書類のサインに移っていた。

「よし、終わった」

サマカンドラは自分が片付けるべき書類を全て片付け終え、アルカトラスがサインした書類にサインし忘れなどがないかのチェックを始める。
そこまで深く見る必要はなく、パラパラとめくったりして記入し忘れを見つけたらアルカトラスに渡せばいい。
中には、王国の機密に関わる書類もあるのでサマカンドラはそういうのは注視しないように心がける。

「サインし忘れはなし、全部OKっと」

そうサマカンドラが呟いた直後、側近とサフィが同時に入って来て

「昼食よ」

「終わりました?」

と重ならないように一間置いて交互に言う。
アルカトラスは時間を見ていなかったらしく、昼食と聞いてもうそんな時間かと言い、サマカンドラは側近に終った書類を全て渡して

「今日中に片付けるべきノルマは終わったわ」

と進捗を報告して立ち上がって大広間へ向かう。
3人が出たのを確認し、サフィは書斎の扉を閉める。
そして誰も居なくなった書斎には、気付けば雨は上がっていて正午前後の日差しが窓から射し込んでいた。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(一次) |
| HOME |