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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

エーヴィヒの1日の一部

クロノスには天気という概念はなく、空模様はいつも同じ。
それにもかかわらず、クロノスの住人達が普通に暮らせているのはエーヴィヒのおかげなのかもしれない。
今日はそんなエーヴィヒの日常を覗いてみよう。

ドランザニア側でいう午前6時ごろ、エーヴィヒは大抵この時間に起きる。
四方八方をそれぞれ刻む時が違う時計に囲まれた寝室、そしてベッドの横にある目覚まし時計が鳴ったと同時にエーヴィヒは起きた。
朝からカチカチと気味が悪いくらいに鳴り響く時計を背に、エーヴィヒはベッドから起き上がって居間へ。
寝室だけではなく、居間も時計がたくさんあるものの、本棚があるおかげで寝室よりは若干ましな方。

「んーっ」

軽く伸びをしたエーヴィヒは、台所に立って朝食の準備をする。
この世界にも一応魔力稼働式の冷蔵庫が存在し、エーヴィヒはそれを持っていた。
冷蔵庫から卵と牛乳、戸棚からホットケーキミックスを取り出し、手際よくホットケーキの生地を作ったエーヴィヒは、上機嫌で記事を焼いて朝食の支度を済ませて席に着く。
テーブルにはメープルシロップにコーヒーが置いてあり、準備は万全。

「いただきます」

食べる前の挨拶をし、エーヴィヒは1人で朝食を食べ始める。
一応この世界を治めいている存在にも関わらず、朝っぱらからエーヴィヒは孤高に過ごす。
それはなぜか?
この世界の住人達は、必要最低限の関係を超えた他者に関しては無関心になることが非常に多い。
なので、余計なことには関せずとても冷たい者たちばかりなのだ。
ちなみにエーヴィヒはその限りではなく、おせっかいを焼くことが多々あり、この世界の住人たちからは本音では煙たがられている。
だが、この世界を治めている唯一の存在がエーヴィヒなので、表面上では絶対にそれを出さない。

「ごちそうさま」

30分ほどでエーヴィヒは朝食を終え、食器を洗って片付ける。
その後はただただぼんやりと時間を過ごし、昼食を食べ、夕方には風呂に入り、夕食を食べ、ドランザニアの時間で言う午後10時くらいには就寝。
そんな見栄えしない生活を、エーヴィヒはアルカトラスの手で誕生し、この世界の創造と同時に世界樹を守る役目に就かされたその日からずっと続けている。

「あれ?」

時計の音を聞きながらのんびりしていると、エーヴィヒは本棚から1冊の本が落ちているのに気付く。
エーヴィヒの家の本棚にあるのは、ドランザニアやそのほかの世界の歴史や未来が書かれた本ばかりでそれ以外の本はない。
落ちた本を拾い上げると、それはとある世界の未来が書かれた本で、すべてのページが白紙になっていた。
これはつまり、その世界が滅んだことを意味するのだ。

「また1つ世界が滅んだのね」

エーヴィヒはその未来の本と組になる歴史の本を取出して「滅亡」と札の掛けられた籠の中へ入れる。
その籠の中には、うず高く積み上げられた本がたたずんでいて、崩れてきそうでそうではないバランスを保っていた。

「記録してた世界のうち、もうこれだけの世界が滅んじゃったのよね…」

どこか感傷に浸るような言動で、エーヴィヒはその本たちを見て呟く。
この本たちは、この後どうなるのかというと再利用されることもなくエーヴィヒの手で処分されるのだ。
だが、エーヴィヒがまともに処分をしようとしないのでどんどんたまっていく一方。

「処分、しないとね」

以前アルカトラスが来た際に、いつまでも感傷に浸っていては仕方なかろうと言われたのを思い出してエーヴィヒは処分を決心。
魔法1つでその籠の中にあった本を全て処分した。

「これでいいわ」

いままで積んでいた本を全て処分し終え、妙な達成感を感じるエーヴィヒ。
そしてその後は他愛もない1日を過ごし終えたとか。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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