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氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

アルガティアとラトレナス-共有だけではどうにもならない

リフィル城の別の庭園の一角。
そこでアルガティアは週に3回程度行う武器の鍛錬を行っていた。
使っているのは、弓とボルトアクションの狙撃銃の他に手裏剣やクナイなど。
それ以外にも、起きている間はアルガティアはローブの下に多種多様の武器を隠し持っているが、大抵鍛錬で使うのは遠距離系の武器だ。

「近距武器の鍛錬しないの?」

たまたま傍でアルガティアの鍛錬をイファルシアと見ていたラトレナスに聞かれ、アルガティアはそこまで必要ないと答える。
その答えにラトレナスはほへーとだけ答え、また鍛錬の見物へ戻る。
アルガティアは今さっきまで使っていたクナイを片付け、今度は弓を出す。
その弓は矢を必要とせず、魔力の矢を放つ弓。
しかも、弓そのものはアルガティアが使いやすいようカスタマイズ以前に作られており、同等の肩の力を持つ者でなければ使うことはまず無理。

「それもう何年くらい使ってるの?使い古されている割には綺麗だけど」

イファルシアに何年くらいその弓を使っているのかと聞かれ、アルガティアは100年近いとだけ答えた。
そのやり取りを見ていたラトレナスが、その弓を興味深そうに見ていたので

「どうしたの?」

アルガティアはラトレナスにどうしたのかと聞いてみる。
ラトレナスはその弓を指して

「にゅ、貸して」

と言った。
アルガティアは少し考えた後に無理はしないよう釘を刺してラトレナスに弓を貸す。
弓を借りたラトレナスは的の方へ向き直り、弓を構えるが動きがぎこちない。
一応、契約によりアルガティアとイファルシアの知識などは常に共有状態にあるので、ラトレナスも弓の使い方は染み込んではいるはずである。
だが、実際は知識などを共有しているだけに過ぎず、実際に己の体でやるのとでは全くもって訳が違う。

「ふええ…」

構えだけは様になっているが、魔力弓の掛け方や、弦を引き絞る強さ、さらに離すタイミングが分からないラトレナスはそのままの状態で立ち尽くす。
イファルシアは自分は蚊帳の外と割り切った顔でその様子を見ている。
数分は何もせずに見守っていたアルガティア、しかしこのまま放っておいてはどうしようもないと思ったらしくラトレナスに重なるようにして手を合わせた。

「少し肩が力み過ぎ、そう…そのくらいで。腕はそのまま」

そのまま手を合わせた状態で、アルガティアはラトレナスに力の加減具合などを調整させる。
そして、そのままアルガティアは手を離してラトレナスに矢を射らせた。
ラトレナスの放った矢は的の中心から大きく外れはしたものの、的そのものからは外れずに命中。

「にゅ」

「やっぱり共有しているだけでは駄目ね、実践によって身につけないと」

「うにゅ」

ラトレナスが退いたのを見計らい、今度はイファルシアが同じ場所に立つと自家製の木手裏剣を取り出して涼しい顔で投擲し出す。
その様子を、アルガティアに抱っこされたままでラトレナスはじっと見ていた。
そして10発ほど手裏剣を投擲してそれらを回収した後、再びアルガティアは的の前に立つ。
だが今度は、弓ではなくボルトアクションの狙撃銃を取り出した。
ちなみに、アルガティアが鍛錬で使っているのは実弾ではなく殺傷力がほとんどないペイント弾。

「うにゅ?」

「さすがにこれをあなたが使うのは難しいからダメ」

「にゅぅ…」

それも貸してと言わんばかりの目でラトレナスに見られたアルガティアだが、弓と違って一歩間違えれば大変なことになるのでダメときっぱり言い放つ。
ラトレナスは少ししゅんと様子でアルガティアから離れ、イファルシアの所まで下がった。
アルガティアはラトレナスが下がったのを確認し、狙撃銃を一応確認してボルトを引いて構える。
その狙撃銃にはスコープが付いておらず、どうやって狙うのかと思われがちだがアルガティアの視力なら十分に狙撃可能である。
今度の的は弓の時よりも遠くに設置されており、その的も人型に作られていた。

「うー、やっぱりこの発砲音は慣れないわ」

「にゃ」

間髪入れずにアルガティアが発砲したため、耳を塞ぐことを忘れていたイファルシアはそんなことを言う。
一方ラトレナスは全くもって平気な様子。
その後もアルガティアは装填した分をすべて撃ち切るまで発砲し、狙撃銃を下す。

「エルフに銃ってどうかと思ったけど、様になるものね案外」

「見かけによらずというもの」

その様子を見ていたイファルシアに様になるわねと言われ、アルガティアは見かけによらずと返す。
ラトレナスはそれをきょとんとした顔で見ていた。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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