FC2ブログ

氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |

戻りし妹弟

ゴルダにはすでに他界した両親の他に、弟と妹が居た。
しかし、現在その弟と妹はゴルダがドランザニア共和大学へ入学した時と同時期に異界へ行ったまま消息を絶っている。
月日は流れ、大陸歴3014年の今になっても2人は帰って来ていない。

「これは、サマカンドラとバハムードとで最後に写した写真か」

ある日、自分の部屋の掃除をしていたゴルダはまだ自分がそこまで年を食っていない頃。
つまり今から大体100年くらい前に共和大学への入学が決まり、3人がそれぞれの道を歩む前に記念として写した写真を見つけた。
そこには、弟のバハムードと妹のサマカンドラ、そしてアルガティアにエゼラルドとイレーヌも混じって写っている。

「懐かしい、あいつらは今何をしてるやら」

写真を傍らに置き、煙草のようなものに火を付けてゴルダは掃除を続ける。
改めて写真を見ると、ゴルダは無表情で棒立ちしており、サマカンドラは少し微笑み加減に、バハムードはエゼラルドの背に立って槍を構えている。
そしてエゼラルドは少し困った顔をしながらバハムードを見ていて、アルガティアもまた無表情、イレーヌはかなり穏やかな表情で写っていた。

「よし、こんなもんでいいだろう」

それから10分ほどで掃除を終え、ゴルダは改めて写真を持って居間の方へ行く。
居間ではお昼過ぎのラジオ番組が流れており、そのすぐ横には洗濯物が積まれていて早く洗濯しろと無言の圧力を放っている。
セレノアが家を空けて以来、ゴルダはこのように家事が投げやりな部分が露見している感が否めない。
それでも本人は、最低限綺麗にしていればいいと割り切っているようではあるが。

「やれやれだな」

洗濯物を魔法で洗濯機に投げ込みながら、ゴルダはふと携帯を見る。
すると、2時間前と1時間前にサフィから着信があり、さらに30分前にはメールが来ていた。
何だろうかと、ゴルダがメールを開くと

「『メール見たらすぐ来い』?はてさて」

大体シアが呼んでいる時と同じ文面のものだった。
だが、今日のこのメールからはシアが呼んでいるなどと言った雰囲気は全く感じられない。

「訳が分からんが、これを無視していると厄介なことになりそうだな」

ゴルダは今まで一度たりともサフィからの呼び出しメールを無視したことはなかった。
だが、今回ばかりは訳が分からないので無視しようともしたが、サフィに何を言われるかが分からないので行くことにした。

「やっと来たのね」

セイグリッドへ行くと、いつものようにサフィが出迎えてくれたが今日は何かがおかしい。
何がおかしいのかというと、なんでもっと早く来なかったのよと言いたげな表情をされたからだ。
さっぱり訳が分からないゴルダは、サフィに応接間へ行ってと言われるがままに行く。
応接間に行ったゴルダを待っていたのは

「よう、兄貴。帰って来たぞ」

「ただいま」

あの日と殆ど変わらないサマカンドラとバハムードの姿があったのであった。
それを見たゴルダは表情を全く変えずに

「よく戻って来たなお前ら、待ってたぞ。お帰り」

淡々と二人にお帰りと言う。
約100年ぶりに、こうして3人は再び揃ったのであった。

「あれから100年余り、どんな世界に行っていたんだ?」

サフィが運んできた緑茶をすすりながら、ゴルダはサマカンドラとバハムードに聞く。
2人はしばらく考え込んだ後、それぞれ一言だけこう言い放つ。

「亜人を含めた人と竜の立場が逆の世界で竜側になって生活してた。一介の傭兵として」

「同じく、でも私は世話係もとい従者みたいな感じで王族に仕えてた」

それを聞いたゴルダは、そうかと一応の理解をした態度を示してそれ以上はこの事に関しては聞かなかった。
30分ほどゆったりと時間を置き、ゴルダは2人に次なる問いを投げかける。

「戻って来たはいい、この先どこに住む?俺の家は完全に1人暮らし用だ」

それは、これからどこに住むかというものであった。
ゴルダが今現在住んでいる家は、1人暮らし用に改築したのでとてもではないが2人を住まわせることは現状無理である。

「じっちゃに聞いてここで住むわ」

「私も」

アルカトラスに聞いてここで住むと言う2人に、ゴルダはそうかとしか答えようが無かった。
特に当てがない以上、祖父であるアルカトラスが居るこの城で暮らすのが現状ベターなのである。

「なんだか今日は疲れたな、とりあえず今日はゆっくり休め。俺はもう帰るが」

ソファから立ち上がり、ゴルダはサマカンドラとバハムードにじゃあなと一言言って帰ることにした。

「これからが大事だな、とりあえず明日にでもまた来て墓に手を合わせるか…3人で」

その一言からは、どうにも踏ん切りが付けられないゴルダの葛藤が見え隠れしていたのである。
スポンサーサイト

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(一次) |
| HOME |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。