氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

4人で花見

ようやく万年桜が開花して春が訪れたセイグリッド。
花見の予定を立てて、アルガティア達を一応招待したアルカトラスだが、参加すると返事が返って来たのはアルガティアだけだった。
他がどうだったのかというと、エルフィサリドは春の雨乞いの儀があるので無理だと言い、エーヴィヒは世界線が越えられない不具合が生じているという返事が返ってきた。
ちなみに、アワパラゴンの方は「国を出れる状況じゃないのね」というシンプルかつ的確な返事を、リヴァイドは暑いからという返事を返してきたと言う。

「はて、あの者は来るだろうか」

アルカトラスはまた、誰という訳でもなく来るだろうかと独り言を言う。
ちなみに、アルカトラスの言うあの者とは、まぎれもなくレナのことだ。
つい最近こちらへ来て初対面したのだが、その時は万年桜はまだ開花していなかったのでまた花見をするときに来ればいいと言ったのである。

「来るなら来る、来ないなら来ない」

そう頭の中で言いながら、アルカトラスは国務へと戻った。

そして花見の日。
その時間までアルカトラスはのらりくらりと国務をこなしていた。
万年桜の桜の花自体が大きすぎるのかどうなのか、理由は不明だが、書斎には万年桜と思わしき花の香りが風に乗って舞い込み、花びらも時折入ってくる。
その花びらは、1枚が大体160センチくらいの大きさでとても大きい。
なので、下手をすれば舞い散った万年桜の花びらが体にまとわりつく者も少なくはないのだ。

しかしそれでも、大陸百景に載るだけのことはあって、木から半径500メートル程度の範囲には花びらの絨毯が作り上げられる。
しかも、万年桜の花びらは舞い散って地面に落ちても最低3日はそのままを維持し、匂いも出し続けるので花びらの絨毯もその程度は維持される。
その上出来た花びらの絨毯の上にまた花びらの絨毯が出来るので、運が良ければ何とも言えない心地よさの絨毯の上で匂いに包まれながら寝ることも可能。

「こんにちは?」

「こんにちはー」

最初にアルガティアとレナがやって来た。
レナはすでに万年桜の匂いを嗅ぎ取ったようで、ずっとその方へ顔を向けてばかりいた。
アルカトラスはよく来たという顔で2人を迎え入れ、先に花見をする場所へと連れて行く。

「むぶっ」

花見の場所へ案内する途中、舞い散って風で運ばれてきた万年桜の花びらがレナに纏わり付いた。
だが、すぐにアルガティアが取ってくれたので事なきを得た、

「でも桜ってここまで大きくなるんだね」

「何の変哲もない桜だったのが、シアが手を加え、いつの間にか突然変異を起こしてここまでになったのだよ」

風で運ばれてきた花びらで何かを作っているアルガティアをよそに、万年桜の全ての大きさに感心しているレナ。
アルカトラスはそんなレナにシアが手を加えて今の万年桜があることを説明した。
レナはまだシアがどういう者なのかを知らなかったが、アルカトラスの話を聞いている内に、妹なのだろうと確信した。
アルカトラスは2人を花見の席へ案内すると、まだやることがあると言って城の方へと戻った。

「これ全部花びら?」

「そうよ」

用意されていた席の前にも花びらの絨毯が出来ていたので、これも全て花びらなのかと聞くレナ。
それに対して、アルガティアはそうよとだけ答えて自分はまだ花びらで何かを作りながら紅茶の用意をしている。

それから少しして、レナが花びらの絨毯の上でゴロゴロしているとアルカトラスに似た竜がやって来た。
だが、アルカトラスと決定的に違うのは目が赤く、角が4本という点だろう。

「あらこんにちは、レナって名前だった?」

アルカトラスに似た竜は、レナと同じ位置にまで目線を下げて話しかけて来た。
またもや名乗る前に名を知られていたので、どうなっているんだろうと思う節もあったが

「うん、当たってるよ。あなたの方は?」

当たっていると返事を返し、アルカトラスと似た竜に名を聞いた。

「私はシアよ」

アルカトラスに似た竜は、名をシアと名乗る。
一応レナには、シアがアルカトラスと同じように神であることは雰囲気でなんとなく分かっていたが。

「もふっ」

「わわっ…!」

突如シアに触られてびっくりするレナ。
さして信用はしていないはずなのに、このような行為をしたのは実際のところレナの能力を見るためだったがシアは何も言わない、

「何だシア、来ていたのか」

「来い言ったのはそっちでしょ」

相変わらずレナが花びらの絨毯の上でゴロゴロしていると、アルカトラスが何かを持ってやって来た。
それはどうやら饅頭のようだ。

「万年桜の花びらを使った旬の饅頭だ」

「はい」

「これおいしい」

それをへえと聞きながら、アルガティアに半分分けてもらった饅頭を食べるレナ。
ここでようやく完成したのか、アルガティアは作り上げた何かをサッと上に上げて

「似合うかしら?」

とそれをレナに着けた。

「わあ、すごい」

アルガティアが万年桜の花びらで作っていたのは、どう見てもレナのサイズに合わせられた外套であった。
しかも、魔法で特殊加工がしてあるのでこの外套は永遠に匂いを出し、萎れないし燃えもしない。

「何か作ってほしいなら言って?材料さえあれば作るから」

「うん、ありがとう」

この後もレナは花見を存分に楽しんだと言う。

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小説(交流) |

来客-アルカトラスにレナ

2の月も末に差し掛かった光竜王国セイグリッド。
予算案も全て通り、国務らしい国務も今日はないので春の近づきを感じながら自分の部屋で今まで積んでいた本を読むアルカトラス。
窓の外に見える万年桜は、肉眼では確認できないものの蕾がびっしりとついており、開花の日を待ちわびている。

「うん、どうした?」

気が付くとサフィが何か言いたげに待機していたので、アルカトラスがどうしたと聞くと

「アルガティアともう1人か1匹か分からないけどが来てるわ、何用かは分からないけど」

アルガティアが来ていると言って、ここに通すかどうかを遠まわしに聞いてくる。
もう1人か1匹というのが気になったアルカトラスであったが、アルガティアがこのようにお忍びで来ることはとても珍しいので通すように促す。
サフィはそれに頷き、アルガティアを通した。

「こんにちは」

「えっと、初めまして…」

アルガティアと一緒に入って来た犬とも何とも言えない子を見て、アルカトラスはふむと呟くと。

「かしこまる必要はない、名をレナと言ったか?」

その犬とも何とも言えない子の名をレナと見通した後に、かしこまる必要はないと穏やかに言う。
犬とも何とも言えない子もとい、レナはどうして自分の名を知っているのと言いたげな顔をした。
それに対してアルカトラスは

「一応我はこの世界の神であるが故に、その程度ならばお見通しだ」

神であるが故にお見通しだとレナに聞かれる前に答える。
それに対してレナは

「あはは、じゃあ仕方ないね」

と軽く笑ってやり過ごした。

「話は変わるが、何をしに来たのだ?」

ここでアルカトラスは、アルガティアの方へ向き直って何をしに来たのかを聞く。
この時期に来た時の目的は大体は分かっていたが、改めて聞いた。

「万年桜、レナに話をしたら見たいと言ったから連れて来た」

アルカトラスが分かっていた通り、アルガティアがお忍びで来た理由は万年桜を見るためだったようだ。
だが、今日はレナに見せるつもりで来たようであったが。

「開花はまだ少し先だがよいか?」

「咲いてなくても、その万年桜の木がどんなのか見れればいいかな」

花が咲いていないがいいのかという問いに、レナはどんな木かが見れればそれでいいと答えた。
その答えに、物珍しいなとアルカトラスは思いながら

「ついて参れ」

アルガティアとレナに一言だけそういうと、背を向けて部屋を出る。
2人もその後に続いて部屋を出た。

「…というように、この万年桜はこの世界では大陸百景の1つになっていて満開時には多くの者が見るためにここを訪れる。無論異界からもな」

「へー」

万年桜について淡々と説明するアルカトラスの横で、レナは興味津々な様子で聞いていた。
城から少し歩いただけで、万年桜はそのほぼ全ての姿を現す。
近づくにつれて、蕾が枝全てに描く色を肉眼で確認できるようになっていく。
そして、見上げないと万年桜全てを見ることができない位置まで来たレナは

「わあ、すごい。こんなに大きいのは見たことないなあ」

まだ蕾しかない万年桜という大陸百景の1つに見とれていた。
この枝についた蕾の全てが開花した時の光景は、より素晴らしいものになるだろうと、レナは開花した時に来れないのはちょっと残念だなと思う。
だが、そんなレナの思っていることを読み取ったのか、アルカトラスはこんなことを言い出す。

「また来ればよかろう、アルガティアと共に。大抵花見時期には王族界隈で花見をすることが多い」

王族界隈で花見をするので、その時にアルガティアと混ざればいいと遠まわしに言うアルカトラス。
しかし、レナは

「そんなところに加わっていいのかな?」

自分がそんなところに加わってもいいのかと疑問に思う顔をしながら言う。
その時、首を傾げた際にネックレスが軽く揺れた。

「この世界の王族は最低限の礼節さえあればあとはブランクな付き合いを好む、問題はない」

これに対して、アルカトラスは最低限の礼節さえあれば問題はないと返す。
それでもレナは本当にいいのかと、どこか引っかかるような表情を崩さなかった。
例えるなら、喉に魚の小骨が刺さったような感じである。

「難しく考える必要はないとだけ言っておこう」

そんなレナに、アドバイスでもするかのようにアルカトラスは囁く。
その囁きで、レナはようやく納得したようで

「あはは、そうだよね…」

と苦笑いしながらアルカトラスに言った。
そしてレナは、花見時にアルガティアとまた来る意思を告げてその日は帰ったとという。

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小説(交流) |

血を飲むのは計画的に

吸血鬼とて、一口に言っても伝説にあるような者だったり、それとは似ても似つかないようなイレギュラーな者もいる。
光竜王国セイグリッドの城で従者を束ねる存在かつ、国王もとい主神のアルカトラスの専属医であるサフィもまたイレギュラーな吸血鬼。
だが、サフィの場合は父方の吸血竜の血の影響もある。
そして、なぜサフィがイレギュラーな吸血鬼なのかというと、理由は三つある。
一つ目の理由は、吸血鬼が伝説上で一般的に苦手とされているものをほぼ全て平気であると言う点。
聖水や十字架はもちろん、退魔の力があるとされる銀も平気な上、一応泳ぐことも可能。
ただし、日光に関しては完全に平気という訳ではなく、人一倍日光には弱いので冬であろうと紫外線対策を欠かすことはできない。

二つ目の理由として、そこまで血を欲すことがない上に飲む血にこだわらないと言う点。
普通なら毎日のように欲するだろうが、サフィはよっぽどのことがなければ半年から数年のサイクルで摂取すれば問題ない
さらに、サフィはいつもはアルカトラスのを飲むのだが、これは変わっても何ら影響はない。

三つ目の理由として、呪いという意味合いながらそれなりの不死能力を持っていると言う点。
無論、持っている理由は不明で両親共々そんな能力はなかった事は確か。
だがしかし、サフィが一度もこの能力を使ったことはない。
それもそのはず、さして命の危険に晒されるような仕事でもないからだ。

今日は、そんな二つ目の理由のそこまで血を欲さないサフィがよっぽどのことがあった場合にどうするかを見てみよう。

「そういえば今日は血液検査の日だったわ」

朝のシアとアルカトラスの健康チェックの準備をしながら、サフィはふとスケジュール帳を見て思い出す。
月に一度の割合で行っており、これで血中魔力の濃度などを調べて異常がないかを調べているのだ。
毎日ではないものの、定期的にやっているのでサフィは手際よく採血用の竜用注射器などを用意し、アルカトラスの所へ。

「おはよう」

「うむ、おはよう。今日は血液検査の日だったか」

「そうよ」

自室で今日の予定を確認しているアルカトラスと朝の挨拶を交わし、健康チェックと採血の用意をするサフィ。
カルテを広げて今日の日付を記し、血液検査用の採血の前に血圧などをチェックする。
無論、竜と人間では各種値の正常値が雲泥の差なので、人間の基準で血圧などの基準を取ると高血圧どころの話ではなくなる。
そしてこれは血液検査も同様で、人間基準で血糖値などを検査するとこれまた糖尿病もへったくれもない値になってしまう。
その点を注意して、竜医は竜の血圧などの値をしっかり把握した上で診察をしなければならない。
少しでも人間基準で診察をしてしまえば、大変なことになる。

「いつもと変わらないわね、脈も血圧も問題ないし。特に体調崩している様子もなし」

「健康第一だからな」

カルテに記録しながら、サフィとアルカトラスはいつもの会話を交わす。
従者と雇い主の関係にもかかわらず、ここまでブランクな会話が可能なのはサフィが実質的にアルカトラスの健康を握っているせいなのだ。
次にサフィは血液検査用の採血をするために注射器を用意する。
基本的に竜も人間も注射の仕方は変わらないのだが、アルカトラスのような大きさになるとまた話も変わってくる。

「…やれやれ」

「小さくなるか?」

「ええそうね」

針を刺す血管を探すも、大きさが大きさなためなのかは分からないが、探せないサフィにアルカトラスが小さくなるかと聞く。
これは血液検査の際に採血するときによく見る光景である。
普通ならば、大きい方が血管を探しやすいと思うが、竜の場合はそうでもないようだ。

「これでよし」

サフィより少し大きいくらいに小さくなったアルカトラスから採血を終えたサフィは、その血をどこかへしまって部屋を出る。

「はあ、何か調子すぐれないわ」

シアの所へ向かいながら、サフィは首を鳴らす。
ほんの1週間ほど前に血を飲んだばかりなのだが、どうにも本調子が出ないでいる。
最初こそはストレスだろうと気にしなかったのだが、それがかなり厄介なほどに溜まっているとここ数日の間につくづく感じてはいた。
あと1回血を飲めば何とかなるかもしれないが、摂取のサイクルを崩すわけにもいかないのでこうしてどうにかやっている。
だがそれも、いつまで続くかもわからない。

「困ったわ」

そうこうしている間にも、無意識のうちにテレポートをしてシアの所までサフィはやって来ていた。
後ろ足で頭を掻きながら待っていたシアに、サフィはおはようと挨拶もせずにカルテを広げてもう1本注射器を用意する。

「あら、今日は機嫌悪いの?」

シアに聞かれ、サフィは一応はと答えて朝の日課である健康チェックをこなす。
そして、血液検査用に採血するという時になってサフィがシアに注射の針を刺そうとした瞬間

「ダメよ、そんな機嫌で」

シアに制止され、注射器を取り上げられてしまった。
忙しいのに何よと言いたげな顔で見ていると、シアにコツンと額を触られて

「ストレス溜めすぎ」

今しかた自分が気にしていたことを言われたのだ。
サフィはそれに対して、だから?と返した後に今日は血液検査するからと言ってアルカトラスの時とは違い、小さくなってもらわずに採血してその場を立ち去る。

「気分最悪だわもう」

牙を歯ぎしりさせながら、サフィは厨房ではなく自室へ戻って採取したアルカトラスとシアの血を、魔動式の検査機に入れてカルテを確認する。
ああは言われたものの、シアも若干ストレスの蓄積量が多めに出ていた。
しかもそれが標準値内であれば問題はないが、今日は標準値を若干上回っていたので高めである旨を書き記す。

「シアは先月と大した変化はなし、アルカトラスは…また血糖値高めだわ」

数分もしないうちに検査結果が吐き出されたので、先月と見比べてどうなっているかを比較するサフィ。
シアはさして問題はなかったが、アルカトラスは先月同様また血糖値が標準値内ながら高めだった。

「食事はそんなに問題ないんだけど」

などと呟きながらサフィは「医療廃棄物」と書かれた箱に使った注射器を入れる。
残るは、注射器から別の容器に移したアルカトラスとシアの血だ。
検査に使うのはほんの数滴でいいので、大抵は余分量として扱われてしまう。
無論、この採血された血も所定のマニュアルに従って適切に処分する必要があるのだが。

「誰も見てないし、どうせ処分されるならいいでしょ」

誰も見ていないことをいいことに、サフィはその余った血を飲んだ。
普通ならば、吸血鬼であろうが絶対にやってはいけないハイリスクハイリターンな行為だがこの際気にしなかった。

「ま、これで大丈夫でしょ」

残った容器を注射器と同じように医療廃棄物の箱へ捨て、サフィは自室を出て朝食の準備ができているかを確認するために厨房へ向かった。

それから大体3時間後。
昼食の献立を確認し終え、つかの間の休息中のサフィ。

「?」

片目の視界が異様に赤くなって見えづらくなったので、何事かと思ったがそれはすぐに治った。
そして時間を見るや、こうしてはいられないと慌てて朝食準備へ。
その後は視界が赤くなるなどということはなかったが、妙に吸血竜と吸血鬼の両方の血が煮たぎるような感覚に付き纏わられた。

夜、一通りの仕事を終えて風呂に居るサフィ。
なぜか今日は隣にシアも居たが、何をしてくるわけでもないので黙って湯に浸かっていた。
だがそれも、浸かってから30分ほどで破られる。

「吸血鬼の匂いが強まってるけどどうしたの?」

シアのその一言で、サフィはどういう意味よと言う顔をする。
そのサフィの顔を見て、シアはこう言った。

「こっそり余分に血飲んだんじゃないの?あなたは血の摂取量間違えると吸血鬼の力が暴走するから注意しなさいって言ったでしょ?」

サフィにとって、シアのこの一言は全くもって図星である。
なぜならば、サフィ吸血鬼の中でもごく稀に見られる体質の持ち主なのだ。
それはどんな体質かというと、一定量以上の血を飲むと吸血鬼そのものの力が暴走すると言うもの。
なので、サフィは血を飲むときはその量を守らなければならないのだ。
とはいえ、その体質のおかげで血を飲む周期が長めに設定できるのだが。

「バレちゃ仕方ないわね、気を付けるわ」

先に上がったしあに、サフィはそう言った。

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小説(一次) |

竜医・幻想獣医の表面考察(?)

本当に表面的であり、専門的には突っ込んでいないことをお断りしておく。

・そもそも竜医師(幻想獣医師)とは何?
大陸包括的幻想獣医師・竜医師法によると「竜を含む地球上では伝説などとされてきた、いわゆる幻想生物の専門医である(要約)」となっている。
つまり、一般的に現実世界には存在し得ない、本やゲームの中だけに出てくる架空の生物を専門に診る医者。
例として、竜やポケモンなどがそれに該当する。


・竜医学、幻想獣医学とは?
獣医学が幻想(架空)生物に対応しただけで、あまり大差はない。
ただし、人間の医学をかじる場面も否めないので完全に獣医学の幻想(架空)生物対応版の学問とは限らないので注意。

・竜医師と幻想獣医師の違いは?
基本的に違いはない、竜医師も元は幻想獣医師であり、前述の竜医学も幻想獣医学の中に組み込まれている。
それがいつ、どのような形で分裂したのかは不明であるが、竜医学と幻想獣医学で派閥が存在していたことは事実。
今では2つとも同一の学問として扱われているが、今更竜医という言葉を消すわけにはいかないのでそのままという変な状態。
なので、大学の学部学科は「獣医学部」の「幻想獣医学科」と「竜医学科」になっている。

・竜医師(幻想獣医師)になるにはどういった道を進めばいいのか?
ドランザニア大陸で、竜医並びに幻想獣医の学部学科を持つのは、ドランザニア民主共和国のドランザニア共和大学(国立)、光竜王国セイグリッドのセイグリッド大学(王立)の2大学しかない。
そのため、倍率は普通の医学部や獣医学部の倍率の10倍ととんでもないことに。
医学部や獣医学部以上の狭き門であることは間違いない。
竜医学科、幻想獣医学科共に6年制の学科で、留年せずにストレートで卒業できるのは合格者の内約3%。
なお、医学部や獣医学部以上の狭き門であるにもかかわらず、この2つの学科の学生の退学率は2割弱とそれなりに多い。
それはなぜかと言うと、大半があまりのレポートの多さに追いつけずに留年を繰り返すうちにドロップアウトする他、手術実習などでSAN値直葬してドクターストップがかかって退学という2つのパターンが多い。
ちなみに、学費が払えずに退学する学生はそんなにいない。
それは、国(セイグリッドのみ)と幻想獣医学会が無利息奨学金(セイグリッドは貸与ではない)の制度を取っているから。
卒業見込みとなった時点で試験の受験資格を得ることが可能であるが、試験は1の月で合否発表の通知が3の月の卒業式直前となんとも鬼畜なスケジュール。
試験にさえ受かれば、免許を発行してもらい、はれて幻想獣医師となる。

・それらを束ねて管理している組織はいずこ?
大陸全土の幻想獣医師および竜医師の管理、幻想獣医師(竜医師)試験の作成etcを行っているのは、光竜王国セイグリッドに本部を置く「大陸幻想獣医学会」及びその傘下の「大陸竜医学会」や両大陸医師会である。
会長は、1000歳以上の賢竜で、次期会長候補をいまだに探してないのが現状。
竜医学や幻想獣医学の学会勉強会や論文発表の場の提供、学術誌の発刊もこの大陸幻想獣医学会が担当している。

・竜医(幻想獣医)になると制限されることとは?
職に関しては、特例を除いて竜及び竜以外の幻獣狩猟をすることは禁じられている。
それ以外は、何をしても自由。
ただし、医療行為上での過失以外で竜などを殺した場合(正当防衛などは除く)、免許はく奪の上厳しく罰せられる。

・竜医師、幻想獣医師免許の有効期限は?
一応定められているが、あまりも有効期限が長いので期限が来る前に死去するものも少なくはない。

・免許を紛失した際には?
免許を紛失した場合には、すみやかに大陸幻想綬医学会に届け出て再発行を受けなければならない。
紛失したまま医療行為をすると罰せられるので注意。

・免許がないが竜や幻想生物に対して医療行為をしたい場合には?
免許を持っている者の同伴及び指導がある場合のみにおいて、それらに対して医療行為を行うことが可能

・竜医と幻想獣医ならどんな科でも診れるのか?
一応診れるないことはないが、その分の知識は自分で付けなければならない。
全般的にではなく、ある科だけを特化して診る竜医や幻想獣医も居ないわけではないようだ。

・実際の所の竜医(幻想獣医)の数は?
100000人に1人くらいの割合でドランザニア大陸には存在する。

・幻想獣医(竜医)って足りてるの?どうなの?
実際のところ足りない、需要と供給のバランスが釣り合ったり不釣り合いになったり。

創作関係全般 |

来客-アルガティアにレナ

普通人と会う時にはアポイメントなりなんなりを取るものではあるが、中にはそれを取らずに人と会う者もいる。
それが友人とかならまだしも、目上の存在などに対してそんなことをしてしまえばさすがに無礼だと思われるのは確実だろう。
だが、中にはそんな目下の行為を何とも思わない目上の存在も、異端的ながらにも存在する。
今日はそんな異端的な国王という名の目上の存在の1人である、アルガティアのとある1日を見てみよう。

「暇ねえ」

「そんなことを言っている場合ではないと思われますがいかがでしょうか女王陛下?今月中に国家予算の決算をして民に公開しなければならないんですよ?」

頭にイファルシアを乗せ、書斎で国務をしているにもかかわらず暇ねと言うアルガティアに、側近がそんなことを言っている場合ではないと返す。
だが、側近の言っていることは一理ある。
一応国家予算の決算報告は上がって来ているのだが、アルガティアはまだそれを全て検算してまとめていないのだ。
ちなみに今のところは検算は全て終わっていて、あとはまとめるだけである。
それなのに側近がせかす理由は、アルガティアがいつスイッチが切り替わって以前より仕事に精を出さなくなるか分からないからだ。

「ともかく、早めに終わらせてくださいね。では」

早めに終わらせるよう釘を刺し、側近は書斎から立ち去った。
側近が居なくなると、イファルシアはアルガティアの頭から降りて

「なんなのあいつ、めんどくさい奴だわ」

と側近の愚痴を言い出す。
アルガティアはそれに耳を貸さずに黙々と検算が終わった決算報告書をまとめていく。
それから1時間ほどして、報告書を1つにまとめ終わったアルガティアはイファルシアを小突いて書斎を出る。
書斎を出てすぐに、長い廊下の向こう側から冷たい風が吹き込んできた。
今日の天気は曇り時々雨で、最高気温は5度もいかない寒い日。
イファルシアが少し寒そうにしたのを見て、自身の胸元辺りに入れてやるアルガティア。
前述したように天気も悪いためか、城の庭には来城している者の姿は全くない。
そんな庭を、雨が上がった直後の草を踏むと出る音を出しながら、アルガティアはぐるっと見て回る。
胸元辺りに入れられているイファルシアは暖かいのが、どこかほっこりした様子。

「あら、雨」

「はい」

見て回り始めて数分もしないうちに雨が降って来た。
するとイファルシアは、どこからともなく普通のよりも2周りは大きい里芋の葉を差し出す。
大体この手の葉は、天然の傘になることが多い。
しかも使い終わったら終わったで、地面に捨てれば土に戻るし、エゼラルドなどが食べても処分してくれるので捨てる際に手間がかからない。

「嫌ね、本格的に降って来てるわ」

「部屋戻る?」

「そうして、傘差してても濡れちゃうわ」

やがて雨は本降りになって来て、傘をさしていても濡れそうになってきたのでアルガティアは部屋へ戻ることに。
本降りになったせいか、本来の気温よりも大分寒く感じるようになってきた。
そんないそいそと部屋の方へ歩く2人の視界に、何かの姿が目に入る。

「あう…」

「あら、レナじゃないの」

「あっ、うん。どうも、遊びに来たのはいいんだけどひどい雨だね」

「風邪ひくからいらっしゃい」

それは、いつかアルガティアが会ったレナという犬とも分からない子だった。
その様子からして、何の連絡もなしにたまたま遊びに来てアルガティアの姿が見当たらず、雨に打たれていたようである。

「急に来ちゃったけど。大丈夫、かな?」

「今日は特に予定ないから大丈夫、それよりもこっちよ」

二、三言会話をした後、このままだと本当に風をひくのでアルガティアはいそいそとレナを自室の方へ案内する。

「えーっと陛下、この方は?」

「私の友達、異議はないでしょ?」

「しかし、連絡と許可もなしに陛下を訪ねて来る者はちょっと…最近は物騒ですし」

屋根の下まで来て、イファルシアに里芋の葉を処分させ、レナが体の水を落すのを待っていると側近がレナを見てなんだかんだ言ってきた。
側近になんだかんだ言われて、レナはどうしようと言う表情になっていたのでアルガティアは改めて

「私の友達だから連絡なしでもいいのよ、あまり頭の硬いこと言ってると解雇するけどいいの?」

友達だからいいのと言って、あまり頭が固いと解雇するけどいいのかと忠告する。
従者はどうなっても知りませんよと言う顔をし、アルガティアにタオルをどこからともなく出して

「そのお友達を拭いて差し上げてはいかがですか?」

レナを拭いたらどうかと言うと、アルガティア達に一礼して下がった。

「えーっと…」

「ほら、入って」

まだ戸惑うレナを、アルガティアは拭いてやると自室へ招き入れた。
招き入れられたレナは、本当にいいのかと思いながら部屋に入る。
アルガティアの自室では、フィルスが起きてからずっと魔法書を読むのに没頭している以外は王族にしてはあまりにも素朴な部屋だ。
ベッドもさほど大きくもなく、フィルスとイファルシアとで添い寝するくらいなら十分すぎる大きさ。
唯一それらしいと言えば、本棚にぎっしりと入れられた魔法書などだろう。
ちなみに、クローゼットも王族にしては小さくすっきりと片付いている。

「わあ…」

部屋の中を見回して見とれているレナのそばで、アルガティアはテーブルを移動させて従者を呼び、茶のセットと菓子を持ってくるように頼む。
特に座る場所がないレナのために、アルガティアはどこからかクッションを出してその上へ座らせた。

「うーん?」

「な、なあに?」

イファルシアにじっと見られ、レナは少しビクッとする。
だが、イファルシアはその反応を見て

「アルガティアが言ってた通りね、月の属性が感じられるわ。この世界ではそうそう居ないから珍しいの」

レナから月の属性を感じるとニコッと笑いながら言う。

「あはは、やっぱり分かっちゃうんだ」

それに対してレナもつられて笑いながら分かっちゃうんだと返す。
一方のフィルスは、レナを気にする様子もなくまだ魔法書を読んでいる。

「お茶にしましょ」

「わーい」

「そうね」

お茶にしようと言っても、反応したのはレナとイファルシアだけで、フィルスは全くこちらに興味を示していない。
レナも最初はどうしようかと思ったが、勉強に集中しているのでは邪魔になるだろうと思ってそっとしておくことにした。
それから1時間ほど、3人は時たま会話を織り交ぜながらお茶の時間を愉しんだ。

「私と初めて会った時のことは覚えてる?」

「ふえ?」

突然アルガティアがレナに初めて会った時の話を持ち出したので、レナは面食らったような顔になる。
だが、レナはすぐにそれを思い出して

「あはは、覚えてるよもちろん…」

と答えた。

それは、今から3カ月ほど前の話。
世界のどこかにあると言われている、あらゆる世界と常時繋がり、思いのままの世界へ行ける場所。
その日、なぜかアルガティアはそこに居たのだ。

「誰かを待つわけでもなく、なぜここに居るのかの理由も分からない。でも私は居る」

様々な者が行きかう、ターミナルへの連絡路の途中のカフェでアルガティアは1人傍観している。
そして、そのまま数時間が経過した頃だろうか。
4杯目のコーヒーを注文した時、アルガティアは何かを感じ取った。

「この感じは、月の属性かしら?」

今まで感じたことのない属性を感じたアルガティアは、その方へ視線を移す。
そこには、白と黒と青と黄の4色の毛を持ち、体に月の模様をあしらい、耳とペンダントにも月をあしらった犬のような子。
アルガティアはその犬のような子に、声をかけてみた。

「こんにちは?」

「えっ?こ、こんにちは」

犬のような子は、アルガティアに声を掛けられて少々びっくりした様子で挨拶を返す。
見た感じでは分からないが、アルガティアはその子が女の子であることは雰囲気で分かった。

「私はアルガティアよ、あなたは?」

「えっと、レナです。初めまして」

「ふふふ、あなた月の属性が使えるのね」

アルガティアが名乗ると、犬のような子も自身の名をレナと名乗る。
そして、名前を聞いた直後、アルガティアはレナに月の属性が使えるのと聞いてみた。
するとレナは

「えっ、えっ?」

と何を聞かれているのか分からないらしく、少し戸惑った。
これが、アルガティアとレナの出会いである。
その後なんだかんだあってアルガティアとレナは友人になって今に至る。

「あはは、思い出すと笑い話だね」

「そうね」

外では大雨が降る中、イファルシアとレナとアルガティアは」お茶の時間を愉しんだと言う。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

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