氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

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双子-姉妹で違うところ

今日も聖リフィル王国に朝が訪れる。
ドランザニアという世界の中で唯一の島国、元は大陸側のドランザニア民主共和国の領土でエルフたちが住まう自治区。
いつの日かは忘れたが、ある時ドランザニア民主共和国より独立して今に至る。
そんな聖リフィル王国の王宮の敷地内の離れ小屋。
小屋とはいっても、作りはしっかりしており。内装もそこそこいい。
そして、その小屋の中で寝ていた1人のエルフが起床した。
容姿はこの国の女王アルガティアと瓜二つ、唯一違うところと言えば。アルガティアより少しばかり身長が低いことだろう。
それはなぜか?、実はこのエルフは女王アルガティアの双子の妹のイレーヌだからである。

「あ、また寝坊しちゃった。まあいいや」

イレーヌはそう言って、動きやすいズボンとシャツ姿で小屋を出る。
毎朝イレーヌが行う仕事は、王宮の敷地で飼っている竜などの世話から始まる。

「おはよー、皆元気かしら?」

竜舎の戸を開け放ち、イレーヌは言う。
ここで飼われている竜は大体が草食で、主に乳をとるために飼われている。
竜乳は牛乳などに比べて加工しても味が落ちにくく、それから作られるバターやチーズもあっさりしていてとてもおいしい。
王宮の敷地内で飼われているのは、10匹ほどだが。この聖リフィル王国の国内にある牧場では100匹単位で飼っているところもある。
イレーヌのここでの仕事は、まず竜の健康状態をチェックする。
少なからず竜医の知識は保持しているイレーヌだが、専門ではないので。何か異常があれば専属の竜医へ報告する。
健康状態をチェックした後は飼料をのようなもの。いわば餌を与える。
餌を与えた後、イレーヌは場所を移動して今度は鳥小屋へと来た。
ドランザニアの世界にも鶏は生息していて、卵の供給源として重宝されている。
イレーヌがここでやるのは、卵取りである。イレーヌが取った卵は、王宮の厨房にいるメイド達へと渡されて調理される。

「あらら、今日は1個もないわね…」

残念ながら、今日は1つも卵が無かったようだ。
その後、また別の竜に餌を与えて朝食のためにイレーヌは王宮の大広間の方へ行く。

「おはようイレーヌ」

「姉さんおはよう」

おっとり不思議ちゃんと、のんびり屋というどことなく似た性格では。こんな会話が日常茶飯事なのだろうか。
アルガティアとイレーヌは二言ほど朝の挨拶を交わして席に座った。
朝食の用意が出来る間。アルガティアは今日の予定に目を通し、イレーヌは昨日の自分の日報を確認する。
そして、朝食が出来上がるとメイドや従者たちと一緒に2人は朝食を食べる。
朝から紅茶を欠かさないアルガティアに対して、イレーヌは竜乳と水を交互に飲む。
むしろ、イレーヌが紅茶を飲むことはあまりなく。夜はワインを飲んだりするのだが。
朝食が終ると、イレーヌはまた世話へ。アルガティアは国務を始める。

「今日も放牧しちゃっていいかな」

そう言って、イレーヌは飼われている竜をすべて敷地内へ解放する。
ちなみに、何度もイレーヌは竜を逃がしたりしており。その度にガードの世話になっている。

「今日は大丈夫だといいけど」

イレーヌはそう言って、竜舎に居た竜をすべて敷地内へ解放する。
もちろん、ちゃんと見ておかないとアルガティアが趣味で植えた花やハーブなどが食い荒らされたりするのでイレーヌの責任は重大だ。
それでも、過去に何度かアルガティアの趣味のスペースが荒らされてしまったことがあるが。
その時はイレーヌが1人でそれを植え直したりしたという。

「あの時は夜中までやらされてさんざんだったわ」

イレーヌはそう言って、解放した竜たちがやらかさないか見張りながら呟く。
基本的に王宮の敷地内は非常時外を除いてオープンなので、一般市民もよく訪れる。
光竜王国セイグリッド国王アルカトラスのやり方を真似て、初代からずっとこのやり方は続けられている。

「あー、眠い」

まだ午前中だというのに、イレーヌは大きな欠伸をして眠そうな顔になる。
それもそのはず、昨日は夜更かしをしてある詩を書いていて。寝たのは夜中の3時ぐらいだ。

「うん?何かしらエゼラルト?乗れって事?」

イレーヌの前に、先代国王…イレーヌの両親のころから居る薄緑の毛に黒い目の竜ことエゼラルトが、鼻先でイレーヌを小突いてきた。
エゼラルトはアルガティアとイレーヌ、どちらにもべったりと懐いているが。2人ともエゼラルトの性別を今に知らない。
あいにく、エゼラルトが何を言っているかはアルガティアにしか分からないが。イレーヌはエゼラルトの仕草で何を言いたいかを把握している。

「よっしょっと…」

イレーヌは間違っても毛を毟らないように注意しながら毛をつかんで背へと乗る。
他の毛のある竜と違って固めではあるが、イレーヌは背に乗るや寝転がって寝てしまう。
エゼラルトもイレーヌを背に乗せるとその場で座って寝てしまった。

「…寝てる」

国務の時間が空いたのだろうか、そこへアルガティアがやって来た。
やや疲れた表情だったが、寝ている2人を見てその表情も緩んだ。
2人がぐっすり寝ているのを改めて確認したアルガティアはどこからともなく鋏と櫛を取り出す。

「伸び放題ね」

アルガティアがやろうとしていたのは、エゼラルトの調毛だった。
起きているときにしようものなら、エゼラルトはどこかへ逃げてしまうので寝ている隙を使ってやるしかないのだ。

「顔の周りだけで大丈夫そう」

アルガティアは起こさないようにそっと櫛を入れ、ハサミで毛を切り始める。
その音に気付いたのか、イレーヌが起きたようだ。
アルガティアはそれに気付いて、イレーヌにあまり動くなと目線で訴えた。

「はいはい…」

とイレーヌは言って、また寝始めてしまう。
10分ほどでアルガティアは毛を切り終えてハサミを片付ける。

「イレーヌ」

「ん…?ああ、分かったわ」

切った毛を片付けているアルガティアに声をかけられ、イレーヌは再び目を覚ます。
アルガティアが何をしてほしいのかというと、髪を切ってほしいのだ。
普段ならメイドなどに切らせるのだが、バッサリ切ってほしい時にはアルガティアはイレーヌに頼む。
最も、アルガティアがショートヘアーにするほど短くするのはかなり珍しいことなのだが。

「部屋戻ってるから」

「うん、分かった」

エゼラルドを残し、イレーヌは他の竜を竜舎へ戻してアルガティアの部屋へ行く。
ほったらかしておいても、エゼラルドは勝手に戻るので起こしてまで戻す必要はない。

「またショート?」

「半年ぐらい切ってなかったからね、お願い」

アルガティアの部屋へ来るや、イレーヌはあらかじめ出されていたハサミなどを手に取る。
髪を束ねる習慣がないアルガティアの髪は、まっすぐに腰の辺りまで伸びている。
イレーヌは腰より少し上の辺りから鋏を入れた。
切られた髪は、床の上にちんまりとした山を作って落ちる。イレーヌは続けて髪に鋏を入れて切っていく。
わずか数分あまりで、小さな山が作れるくらいの切られた髪が床に落ちる。
腰のあたりまであった髪も、胸のあたりまで短くなった。

「どう?」

イレーヌはアルガティアに聞く、どうかと聞かれたアルガティアは手鏡で長さを見て

「肩ぐらいまで」

と一言だけ答える。
イレーヌはそれに頷いてまた髪に鋏を入れる。部屋の中には髪を切る鋏の音だけが響く。
髪を切り始めて15分後、アルガティアの腰まであった髪は肩のあたりまできれいにカットされた。

「イレーヌ、あなたのも切ろうかしら?」

「いいの、そんなに伸びてないから」

「ならいいんだけど」

アルガティアに髪を切ろうかと聞かれたイレーヌだが、いいと言って断る。
イレーヌが切った髪を片付けている間に、アルガティアは風呂場へ行ってしまう。

「これでいいかな」

切った髪を片付け、イレーヌは呟く。
部屋のごみ箱に捨てるとアルガティアが後々うるさいので、イレーヌは切った髪をまとめて部屋を出た。
部屋を出てきた場所は、メイドなどが休憩したりする部屋。

「どうかしましたかイレーヌ様?」

「これ、捨てておいてくれないかな」

メイドに聞かれて、イレーヌは切った髪が入った箱を渡す。
中身を見たメイドはイレーヌに

「いま、ゴミ燃やしてますよ。ついでに生ゴミを持ってってもらえると助かるんですが」

今ゴミを燃やしているのでと言うついでに生ごみの入った別の箱を差し出す。
大抵ここで出る生ゴミは害が無ければすべて肥料用に回される。
可燃性のゴミを燃やした後の灰も、何だかんだで使われたりする。

「うーん、分かった。これだけ?」

「ええそうです」

生ゴミの入った箱を持ちながらイレーヌは聞く。
メイドがもうないと言ったので、そのまま焼却炉まで持っていく。

「やれやれ」

ゴミを持って行って戻ってきたイレーヌはため息をつく。
アルガティアと違い、普段から力の要る仕事をしているイレーヌはこの程度の事では疲れない。
逆にアルガティアがやったら、先ほどのゴミ捨てでもきついかもしれない。

「汚れちゃったな、風呂入ろうかしら」

焼却炉でもゴミを入れるのを手伝ったため、ゴミを持って行っただけでも汚れていたのにさらに汚れてしまった。
イレーヌは風呂場へは行ったものの、従者が見張っていたのでアルガティアがまだ入ってるのだろうと悟って部屋のある小屋へ戻る。

「姉さんいったん入ると1時間は余裕だし、出てくるころには夕食の時間だわ」

ひとまず汚れたままの服だと嫌なので、上だけを脱いでベッドに寝転がりながらイレーヌは言う。
アルガティアはいったん風呂へ入るとゆっくりするので1時間は上がってこない上、一人で入るのを好むので風呂を占領する時間が長い。
しかも、入っているときに誰かが入ってこようものなら魔法を使ってくるほどだ。
それに対してイレーヌは少人数なら誰とでも入り、30分では風呂から上がる。
どうして姉妹でここまでの差がついてしまったのかは不明だ。

「もう夕食の時間だわ、とりあえず着替えようっと」

後で入ればいいと考え、着替えるとその場でテレポート系列の魔法を詠唱して大広間へと移動する。
イレーヌが来たときには、既に全員席について待機していた。
なぜか今日は光竜王国セイグリッドのアルカトラスまで居たが。

「来てたんですね」

「少しばかり話を、な」

一言二言会話をアルカトラスと交わして、イレーヌは席へ座る。
食事の間、度々アルカトラスとアルガティアが何かを話していたが。イレーヌには内容をあまり理解できなかった。
少なからず、ドランザニアに関する話であるという事は理解できたが。

「ごちそうさま」

いまだに話をしているアルカトラスとアルガティアを差し置いて、イレーヌは風呂場へ行く。
さっきはアルガティアが入っていたので入れなかったからだ。
1人で入るのにはあまりにも広すぎる風呂場は、国の主たるものが住まう場所にふさわしいものだ。

「ふう」

源泉から直にくみ出している湯に浸かりながら、イレーヌは表情を緩ませる。
デスクワーク中心の姉とは逆に、力や体力のある仕事をこなすイレーヌ。
元々同じような教育を受けていた2人だが、分岐点となったのは従妹であるゴルダら3兄弟が来たことだろう。
イレーヌはよくゴルダに連れ出されて王宮の外へ出たりもしていたし。どちらかと言えばアウトドア派だった。
一方のアルガティアはサマカンドラと色々と勉強をしていてインドア派。
良くかかわっていた相手次第でここまで変わるのだろうか。
ちなみに、アルガティアも完全なインドアでも体力が無いわけではない。

「そろそろ上がろうかな」

と言って、イレーヌは風呂から上がる。
イレーヌが入るときは、従者はついていない。仕事をあまり増やさせたくないという理由でつけないようにしているのだ。

「うーん、だいぶ溜まってるわね」

イレーヌが見たのは、脱衣場の一角に集められた汚れ物の衣類の山。
今日はたまたま当番のメイドが忘れていたのだろうか、山盛りに積み上げられている。
これではダメだと、当番のメイドを探す前にその汚れ物の山を持ってイレーヌは洗い場へ向かう。

「あっ、すみませんわざわざ」

洗い場で先に洗濯をしていたメイドがやって来たイレーヌに気付いて言う。
イレーヌは無言で洗い場の洗濯機へ汚れ物を入れる。

「ちゃんと洗わないと、ね?」

まともに服を着ていなかったので、その場で服を着ながらイレーヌは言うと自分の部屋のある小屋へ戻る。
戻ってくると、エゼラルドがずっと待っていたと言わんばかりに顔を上げた。

「一緒に寝ろって言うの?分かったわ」

大抵、エゼラルドがこういうことをする時には。一緒に寝ようという意なのである。
こうされると、断ろうにも断れない。いや、断ると信頼関係に亀裂が生じるのでイレーヌは仕方なく一緒に寝る。

「ほら、行くわよ」

先に歩いていくイレーヌを、エゼラルドは追いかける。
エゼラルドの竜舎は、がらんとしていて何もない。
ほとんど外で過ごしているので、ここは寝る場所と割り切っているからだとか。

「おやすみ」

エゼアルドが丸くなった上へ、イレーヌはその上へダイブしてそのまま寝てしまった。
そこそこ手入れされている体毛は、寝つきがいい者ならば1分もかからずに寝てしまう心地よさ。
イレーヌも例外ではなく、1分もたたないうちにぐっすりと寝入ってしまう。
そしてその頃、アルガティアはと言うと

「そろそろ、ご就寝なられては?」

「大丈夫、この書類終わったら寝るから」

「分かりました、お休みなさいませ」

「ええ、おやすみ」

いまだに起きていて、今日分の国務の残りを片付けていた。
体調が悪い時でも構わずに国務をこなすため、メイドなどから度々体の心配をされることもある。
しかし、いまだに健康診断などでは異常が出たことはない。
ほんの一部だけが違い、後は同じ。双子とはそういうものなのだろうか。

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ドランザニア-世界の誕生4

知性を持つ者たちが誕生してから、かなりの月日が流れた。
アルカトラスとシアの居住地の周辺には城が建ち、さらには塔が建てられ。完全に国家として成り立っていた。
国の名は、光竜王国セイグリッド。どういう経緯でそのような名に決定したかは不明である。
この他にも、ドランザニアはあちらこちらで国が建国されて栄えている。
表側大陸のほぼ中心部分を占めるはドランザニア民主共和国、その東には闇竜アルヴァス国。
ドランザニアとアルヴァスの間、つまりドランザニアの東南付近に位置するのは、地竜王国アストライズ。
そして、ドランザニア領土内に位置する離島はかつてはエルフ自治区と呼ばれていたがつい最近ドランザニアから聖リフィル王国として独立。
裏側の大陸の方には、犬神国ムサヅキが建国され栄えている。
西海側に面した国は水竜王国スリュムヴォルドと呼ばれ、ドランザニアと水利権問題で小競り合いが発生中。
その北には氷竜王国リヴァルスと言う国が建国されているが、アルカトラスはそこの国王とはまだ会ったことは無い。

「掛かった時間は大陸歴を入れて5000年余りか、長かったな」

民と話をしながら、アルカトラスは呟く。
光竜王国セイグリッドは王制ではあるものの、それはもはや形だけ。
アルカトラスは自らの考えだけで政治を行わず、民の声をある程度聞き入れるという政治をしている。
現存神信仰という少し特殊な宗教が確立され、この世界に住む知性持つ者のほとんどがその宗教を信仰している。
正しい宗教名は不明だが、アルカトラスとシアをこの世界とそこに住まう生命の両親として見ている宗教で聖竜教と良く呼ばれている。
この世界に生を受けた者は全てアルカトラスとシアの子供であり、その一生を終えた者の魂シアの元へ回帰する。
そしてシアに生前の行いを評価され、その評価によって新たな命を授かって生まれ変わる。それがこの聖竜教の考え。

また、何時誰によって作られたかは不明だが。この時にはすでに太陽暦に酷似した太陽暦と言う歴が使われていた。
月日を「~の月」と「~の日」と呼び、三六五日周期を一年とする。
これを作った者の説として有力なのは、聖リフィル王国にの賢者の竜の里に住むある賢者の竜が作成したという説。
賢者の竜とは、いつ生まれたのかは定かではないが。強力な魔力と桁外れの知力を持った竜族。
実際、この賢者の竜のおかげでドランザニアの発展は急加速していったと言っても過言ではない。
賢者の竜は、最初に他世界へ行って帰って来る方法を確立。
それにより他の世界から多数の文明に触れ、様々な技術などをこのドランザニアへ持ち込んだ。

だが、その持ち込まれた技術などがいつも正しく使われるとは限らない。
ドランザニア民主共和国は、この技術などを使って武力を持ち軍を持って各国に何だかんだ争いを吹っかけた。
しかもそれだけに留まらず、ドランザニアは自分たちの国の中にある世界樹にまで手を出し始める。
魔力供給の源と聞けば黙っては居られまい、との事だったのだろう。
結果として、傷付けられた世界樹は世界のバランスを保つことが難しくなり。世界は一時期崩壊の危機を迎えた。
しかし、アルカトラスは異空間にその世界樹を隠し。その異空間に新たに国を建国してその民たちに世界樹を管理させた。
この異世界に建国された国というのが、時竜国クロノスである。
このクロノスを治めるのは、時竜エーヴィヒ。エーヴィヒはシアの力により生まれた。

その他、何だかんだはあったが。こうして現在のドランザニアと言う世界は成り立っている。
何だかんだの細かい話は、いずれまた話す機会が来るだろう。

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ドランザニア-世界の誕生3

話は逸れて、それから数十年ほど後の話。
アルカトラスとシアが居住地を構えている、ちょうど裏の大陸にアルカトラスは来ていた。
はたして何をするつもりなのだろうか、見渡す限り手付かずの大自然の中に降り立ったアルカトラスは何やら魔法の準備を開始。
何を考えているのかというと、この裏の大陸には手を入れにくい。
なので、別の者に此処の開拓を頼もうとしているようだ。

「…」

数時間悩んだ末に、アルカトラスが生み出した裏の大陸の開拓代理者とは。
白と銀の毛に紫の目を持ち、一対の尾を持った大狼。
名をまた決めていなかったのか、アルカトラスは誕生したばかりの大狼の前でまたもや考え込む。
この大狼は、アルカトラスの力の約三割を有しており。本当に小規模ならば生命創造や世界をいじったりすることは可能。
三割も自分の力を与えて大丈夫かどうなのかというと、大丈夫である。アルカトラスとシアは仮に自分の力を分け与えても時間が経てば元通りになる。
それでも、数百年近い年月を要するが。
補足ではあるが、この大狼はアルカトラスの知識などをそっくりそのまま複製してあるのでいちいち教え込む必要はない。

「汝の名前が決まらんな…まあよい、汝に頼みたいことがある。この裏の大陸に、人間などが住む国が将来的に建国されるような状態にしてほしい」

アルカトラスは名前を考えるのにそんなに時間は使えないと、大狼にこの裏の大陸を開拓するように頼む。
大狼は面白そうだと頷いて了承したものの

「ところで、儂の名は何と言うのだろうか?」

「汝の名は、サミズキノムズキ。長いからムヅキで構わない」

と聞いて来たので、アルカトラスは突発的に思いついた名を言う。
大狼はふむと頷いて、いつかまた会おうと言うとどこかへ消えた。
ひとまずこれで裏の大陸は大丈夫だなと、アルカトラスは表側の大陸へと帰る。

「お帰り、裏の大陸の開拓のために代理者を誕生させるとはね」

「ここだけでも手一杯、仕方なかろう」

帰って来て早々、シアに嫌味のようなものを言われてもアルカトラスは正論で言い返す。
それにシアはそれもそうねと言って集落の方へ行ってしまう。
この数カ月で、アルカトラスとシアが居住地を構えている周辺には人間と亜人たちの村が発展し。自治を持った町が生まれた。
アルカトラスを王とした国を建国しようと言う噂もあり、近い将来国が建国されるだろう。
また既に小さいながらも、国が建国されたと言う話がアルカトラスとシアの耳に入って来ている。
それは、ここから南東に位置する沿岸とかなりの内陸地域と離島を国土としたドランザニアと言う国らしい。
まだ開拓などは始まったばかりなので、国土などは小さいがこれから広がっていくのだと言う。
この世界の発展は、まだまだ始まったばかりだ。

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ドランザニア-世界の誕生2

アルカトラスとシアは、神界を旅発ち。その下に広がる虚無の場所へとやって来た。
この場所は、かろうじて空間というのが定義されている状態で。時間の流れなどは一切ない。
この空間で、まずアルカトラスが言ったのは

「きちんとした空間の定義を創ろう」

というものだった。
シアもそれに同意し、二匹は互いの力を合わせこの虚無の場所に空間と言う定義をはっきりと定義させた。
これにより、虚無の場所はちゃんとした無限に広がる空間へと変化。
たまにシアの力を借りながらも。アルカトラスは創造の魔法で空間と化したこの場をいじり続け、宇宙と似た空間を創り出す。
その次に、アルカトラスは朝と夜が来るのに不可欠な太陽と月も創ったのだが。その時の余剰の力で様々な星が無数に誕生した。
世界創造の最後の決め手となる、生命が宿るための場所。地球とよく似た惑星をアルカトラスはシアと共に創造。
これにより、ようやくドランザニアと言う世界の形が明確になった。

ちなみに、当時のこの惑星はようやく地表が冷えて大雨が降った後の地球のように海に囲まれた星だった。
二匹はその惑星へ降り立つと、アルカトラスは陸地を創るために何か所かの海底を広範囲に渡って隆起させ、シアは海に微生物を誕生させる。
その間に、アルカトラスはこの惑星に四季をもたらすために一周して準備。すぐにでも陸地に生命が栄えられるようにする。
それから数日が経過し、シアは次に陸地にも生命を誕生させた。この時陸地に誕生した生命は昆虫や植物、そして海と同じく微生物。
しばしこれで様子を見ようと、アルカトラスとシアは生命が誕生したばかりだが一応栄えている陸地の北西あたりに自分たちの居住地を構えた。
ここが、後に光竜王国セイグリッドとなる場所となる。
そしてアルカトラスは、世界の中心付近辺りに見上げられないほど巨大な木を植えた。
これは後に世界樹と呼ばれ、この世界のバランスを保つ柱と魔力を供給する源となる。

それから長い時間をかけて少しずつ少しずつ、シアは様々な生命を誕生させた。
海には魚などの海洋生物などを、陸地には昆虫を餌とする小動物や新たな植物に昆虫など。
アルカトラスも、仕事をしていないわけではない。
世界の様子を管理しつつ、環境をいじったりして生命がより栄えやすい状態や生命が活動するのに適切な環境へと持って行く。
新たな生命をシアが生み出す度に、アルカトラスがそれに応じて必要ならば世界の環境の調整をする。それが2000年ほど続いた。
その作業が2000年ほど続いたある日、シアはこんなことを言い出す。

「そろそろ人間などを誕生させよう」

アルカトラスはこれに同意し、知的生命の誕生に向けてシアと三日三晩話し合った。
その結果、人間の他に亜人や竜を含めた幻獣とまた新たに動物を誕生させることで話に決着はつく。
実行は翌日の日の出とともに、二匹はそう決めてその日は寝てしまう。
そして翌朝、起床してすぐに生命創造の魔法の準備をするシア。アルカトラスはそれを失敗しないように監督し、サポートする。
最初に誕生したのは、数百人の人間と亜人たち。次に竜を含めた幻獣が同じ数ほど、最後にそれ以外の新たな動物が誕生した。
これによって誕生した者たちは、ある程度自然の中でも生き抜いて行けるような知識などを根底に埋め込まれていたので放置していても問題は無い。
一部は新天地を求めて遠くへ旅立ち、一部は近くで生活を開始、そして残った者たちはアルカトラスとシアの二匹に付いて行くことになった。

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ドランザニア-世界の誕生1

聖竜の手で作られ、聖竜の手で管理されている世界ドランザニア。
普通の人間以外に亜人や聖竜以外の竜に幻獣なども暮らすこの世界が、どのようにして創造されたのだろう。
これは、そんなドランザニアの誕生の話である。

それは、まだドランザニアと言う世界が影もなく形すら存在していなかった頃の話。
この頃は神界と呼ばれる、神が住む世界だけが将来的にドランザニアとなり得る場所の上に存在していた。
その神界には、すべての神々を束ねる。主神と言う神が居た。
主神は決まった姿を持たず。ある時は人間、ある時はエルフや獣人などの亜人。そしてまたある時は竜の姿をしていた。
そんな主神は、ある日。地球という人間とその他の生物が多数住む世界を管理している神を見てこう思う。

「人間とその他の生物だけが住まう世界はつまらない、もっとこう。竜を含めた幻獣や亜人に混じって人間が住まう世界を見たい。そう、地球以外の他の世界のように」

だが、自ら動き。世界が存在するための宇宙と呼ばれる場所を創り、地球と同じような惑星などを配置するのは面倒。
ましてや、神界を束ねている自分がそのために神界を離れることはあってはならないこと。
主神は考えた、これは他の神が管理する世界を一緒に見れば済む話。
だが、どうしてもそう言った世界を独り占めして見たい。主神にはその思いが強かった。
そして主神は閃く、自ら動いて創ることが無理に近いならば。代理を立てて世界を創らせればいい。
主神はその閃きから、2匹の聖竜を自らの力を削って誕生させ。この二匹に世界の創造及び管理の代理を任せる考えを導き出す。
二匹の聖竜の一方に世界創造とその管理、もう一方には生命創造とその管理を任せることにした。

だが、主神はこの二匹の聖竜を誕生させる際。とんでもないミスを犯してしまう。
そのミスとは、己の力の七~八割。つまり自分の持つ力のほとんどをこの二匹の聖竜へ注いでしまったのだ。
一旦注いでしまった力はもう元には戻せない、主神はそのままこの二匹へ命を注ぎ込む。
そして白き光と共に、二匹の聖竜の姿を形作っていた何かに命が注ぎ込まれる。
二足でも四足でも生活できる体に白い毛、一方は二本の角に青き目、もう一方は四本角に赤き目の聖竜がそれぞれ命を注ぎ込まれて神と同等の存在として誕生した。
主神は、二本角に青き目の聖竜にアルカトラス、四本角に赤き目の聖竜にはシアと名付け。自分の本名である主神アルシェリアからアルシェリアと言う姓を二匹に授ける。

「アルカトラス、シア。お前たちにやってもらいたいことはただ一つ、今この神界と呼ばれる世界の下には虚無が広がっている---」

主神は長々と横道へ逸れた話をした後、アルカトラスとシアにこう告げた。

「お前達二匹で、この下に広がる虚無を開拓し。宇宙を創り、さらに生命の住む星を創ってそこに人間の他様々な生命を誕生させ。管理するのだ」

主神は、アルカトラスに世界の創造及び管理、シアに生命創造及び管理を託し。虚無の空間へと送った。
これがドランザニア誕生の前身となる出来事。

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