氷竜の創作部屋

創作(一次・二次混同)の中でも特に小説を掲載

おしながき

うちの連中プロフリンク
設定のあれこれ(アイテム、技術、etc)
創作世界観
竜医・幻想獣医の表面考察(?)
各紋章へのリンク
竜滅病に関するまとめ
ドランザニア語まとめ
設定のあれこれ(種族)
大陸の山・川・etc
竜医(幻想獣医)のあれこれ
能力とかいろいろ
大陸と異界の関わりetc
大陸の魔法に関して
雑多な創作設定・ネタまとめ
---------------一次創作小説(自キャラオンリー)----------
当ブログに掲載されている小説は、短編連載物中心で「こういった現代文明とファンタジーが混じったような世界での各キャラの日常」をテーマにしております。
とても長いので細かく分割
その1
その2
その3
その4
その5
その6
---------------------一次創作小説(交流系)-------------------
頻出するよそ様のキャラのリンクはここに
雨月以下王子s
レナ
メリエル以下召喚獣たち
ドラビット族
----------------以下各リンク集--------------------------------
その1
その2
その3
その4
-------------------二次創作小説--------------------------------
物は試しで設置、注意表現含むものが多いかもしれない

・マキュッと変身
アルガティアのマーキュライトカーバンクル化、Transfur要素入り
1
未分類 |

ゴルダと輝星と昏黒

「昏黒こっちだよ、早く早く」

夏もまだ日の高いうちから昏黒を連れてセイグリッドへやってきた輝星。
だが昏黒の方は夏の日差しの強さを物ともしてない様子で輝星に淡々とついていく。

今日セイグリッドへとやってきたのは以前シアに

「自分に足りないものの探し方にはコツがある」

といったようなことを言われたのを思い出し、
それを聞きに来たのである。

「あれー?シア様どころかメルムーア様もいないや」

城の中を歩き回るも、シアどころかメルムーアの姿も見えず。
居ないねと言いながら輝星が昏黒と城の中を歩いていると、
イファルシアに似た体型に濃い紫毛で額にアメジスト。
満月のような黄色い目のカーバンクルが体から冷気をほんのり出しながら歩いているのを発見。

「昏黒、あのカーバンク知ってる?見たことないけど」

誰だろうと輝星が昏黒に聞くも首を横に振られて分からないという意思表示をされてしまう。
だが、いま2人の目の前に居るカーバンクルは姿こそはかわいいのだが無表情だ。
無表情というと、輝星は昏黒の他にもう1人を思い浮かべた。
それはアルカトラスの孫である

「もしかしてとは思うけど、ゴルダさん?」

ゴルダ、輝星が頭に浮かんだ無表情のもう1人の名がそれだった。
濃い紫毛のカーバンクルは輝星と昏黒をまじまじと眺めてから

「よく俺だと分かったな、ご無沙汰といったところか?」

自分がゴルダであることを認めたうえで久々かと聞く。
輝星はその問いに対して

「久しぶりだね。ところでゴルダさんってアルカトラス様以外にも変身できるの?」

久々に会ったことを肯定しつつアルカトラス以外にも変身できるのかと聞く。
ゴルダはそれにこの姿が何よりの証明だろと言いたげな目線を輝星へ投げる。
なお、昏黒はカーバンクルの姿のゴルダを見て

「輝星が好きそうだ。無表情なのを除けば」

と思うのだった。

その後2人はなおも冷気を出し続けるゴルダに連れられて応接室へ。
ゴルダの話によるとシアとメルムーアはどちらも今日は仕事があって忙しいのだという。
だが、メルムーアは大学で講義をしているので昼過ぎには戻ってくるだろうとのこと。

「ゴルダさん、触ってもいい?」

応接室で互いにソファに無言で座っていると唐突に輝星から触っていいかと聞かれるゴルダ。
輝星がもふもふ好きなのはシアやアルカトラスから聞いているので知ってはいたものの、
実際に触っていいかと聞かれるといかんともしがたい。

だが、断れば輝星ががっかりして信用を無くしそうなので
触るなとは言わずに

「フィルスやイファルシアのように額は触るな。いいな?」

額に触らないようにという条件を課してもふもふを許可。
許可されるや輝星はわーいとゴルダを手始めにハグ。
いきなりのハグにゴルダは渋い顔をしたが輝星から漂う甘い匂いを感じてすぐ無表情に戻る。

「やっぱりフィルス君やイファルシアちゃんみたいにかわいさが物足りないなぁ」

子供ゆえの純粋な意見にもゴルダは強いことはあえて言わずに

「もふもふさえあれば、かわいさがそこまでなくても大丈夫。お前はそうじゃないのか輝星?」

と静かに返す。
それを横で聞いていた昏黒は同意するかのように頷いていた。
基本的に喋らないことが多い昏黒だが、
こういったジェスチャーなどで意思表示はしてくれるので意思疎通が全くできないわけではない。

「もふもふもいいけど、やっぱりかわいさも必要だと僕は思うんだ。ゴルダさんはどう思う?」

深く考えれば哲学の域に達しそうな問いにゴルダは軽くこう返す。

「もふもふイコールかわいいではない、かっこよさや美しさもまたもふもふを惹きたてる。俺の考えはそれだけだ」

輝星はその返しを聞いて少し考えるような仕草をしてから、
ゴルダの耳のあたりを触りながらこんなことを言う。

「惹きたて方って色々なんだね。昏黒も言ってたよ、物事を一方向からだけ見ちゃいけないって」

「王子になるということは将来竜王となる。つまり国を治める存在になるということだ。そうなれば物事を一点集中で見ても仕方がない」

昏黒から物事を一方向からのみ見てはいけない。
多方向から見る必要があると言われたと話され、
ゴルダは将来国を治めることになる以上、
物事を一点からしか見れないようでは国はまとめきれないと返しつつ輝星に触られた耳を動かした。

「そこに居たのね、やっと講義終わったわ」

スッと応接室に入ってきたメルムーアに、昏黒は軽く頭を下げて挨拶。
輝星はゴルダをもふもふしていたのですぐには気づかなかったが昏黒が頭を下げているのに気付き

「あっ、メルムーア様」

「いらっしゃい」

遅れて挨拶。
なおゴルダは輝星の方をずっと見ていたので気配だけを感じて

「来るとは思っていた」

と呟き輝星を撫でた。
なおその後はメルムーアが輝星にゴルダには関係のないことを話しっぱなしだったとか。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(交流) |

真夏の昼下がりのひと時

外が昇華しかねない暑さにもかかわらず、
快適な温度と湿度が保たれたゴルダの家の中。

そんな家の中で、
瑠璃夢の膝に座るミリシェンスよりも濃い紫の毛で満月のような黄色い目のカーバンクル。
その隣にはルーナの膝に座るアイレ。
床ではフウがレルヴィンにもたれてポケモンのムーンをプレイ中。
ミリシェンスはユウとマティルーネと共にブレイクタイム。
ヘフィアは家中の刃物を研ぐ作業をしていた。

「しかし、お前がこんなかわいい姿に変身できるとはな」

「俺とて色々ある、追求するな。あと額を触らないでくれ」

クックと笑いながら、膝の上の濃い紫毛のカーバンクルことゴルダを撫でる瑠璃夢。
ゴルダは瑠璃夢の手が自分の額に宿るアメジストこと核石に触れようとしたので、
額に触るなと言ったが瑠璃夢はお構いなしに触れる。
それに一瞬ビクッとしたゴルダは瑠璃夢の手を掴んで

「やめろ、俺でも不意打ちはたまにはびっくりする」

今一度やめろと強めに鋭い目付きをしながら言う。

「なんじゃ、アイレは触っても平気だと言うのにつまらぬの」

それに瑠璃夢はアイレなんともないのにつまらんと不満を漏らし、
掴まれていた手を振りほどく。

「瑠璃夢さん、この世界のカーバンクルたちは下手に額の石を触られるのを良しとしないんですよ。魔力制御が乱れるとかで」

そこへルーナがフォローを入れるように触ってはいけない理由を説明。
瑠璃夢はそれでも納得いかないような様子で

「そこまで触られるのが嫌なら私もう触らん。確約はできぬが。だが私の膝には座れ」

渋々触らないことに了承するも、
膝には座れとそこは譲らなかった。

「あっ、アローラロコンの色違い」

フウの一言にゴルダはピクリと耳傾け、
瑠璃夢の膝から降りてフウの3DSを覗く。
確かにそれはアローラロコン色違いで、
色違いを示す星もついていた。

「色違いはやれそれ出る代物じゃないからな」

「やったー」

なんだかんだでムーンを殿堂入りまでクリアしたフウが始めたのは、
野生で手に入る伝説や幻を除いたポケモンの色違い集め。

ネットなどを使ってコツコツとではあるが、
集まってはきてはいるようである。

「あれがソシャゲだったら、とんでもないことになってるわね」

アローラロコン色違いではしゃぐフウを見て、
ミリシェンスはあれがソシャゲだったらどうなっていたか分からないと話す。
「使う人はいくらでも使うみたいですね、ちょっと怖いです」

ミリシェンス一言にユウは、
ソシャゲに際限なく注ぎ込める者が怖いと返す。

「種類と腐ってる以外の状態問わずの、人参というか野菜ガチャがあったらいいのに」

2人のソシャゲのガチャの話に反応したのだろうか、
マティルーネが人参もとい野菜ガチャでもあればいいのにと呟く。
それに対しユウは苦笑いし、ミリシェンスはそれはそれでと言いたげな顔をしながらコーヒーを飲む。

「これ、私の膝に戻れ」

「もう十分だろう?」

フウとポケモンをし始めたゴルダに瑠璃夢は膝に戻れと言うが、
ゴルダは本来の人の姿へ戻り、もう十分だろと断言。
だが瑠璃夢はまだ満足してない様子である。

「あー、なるほど。これは簡単に満足しないね」

クェムリーヴェスが瑠璃夢に探りを入れたらしく、
簡単に満足するはずがないと断言。

相変わらず不満げな顔をする瑠璃夢にゴルダはいつものように

「雪見だいふくで手を打とう。俺もあの姿は気に入っているがあのままずっとというのは厳しい」

ともかく瑠璃夢をどうにか文句を言わせないようにしようと、
雪見だいふくを出そうと言ったが瑠璃夢は首を横へ降り

「今日はその手には乗らぬ。私の膝に戻るか居座られるかを選ぶがよい」

膝に戻るか居座られるかを選べと言い出す。
それを聞いたクェムリーヴェスはゴルダに

「遅かったや。今日はいつもと同じ手が通用しないよって忠告しようしたのに」

いつもと同じ手は通用しないと言おうとしたが遅かったと話すが、
クェムリーヴェスの場合最初から言う気などなかったことをゴルダは知っていた。

「ダメですよ瑠璃夢さん、ゴルダさんを困らせちゃ。変身能力って意外と魔力使うから難しいんだよ。下手すれば元に戻れなくなるってシアさん言ってたよ」

すると、今の今までルーナの膝の上でボーっとして黙っていたアイレが唐突に瑠璃夢へ向けてそんなことを言い放つ。
予想外の者からの一言に、
瑠璃夢は一瞬たじろいだがすぐ何事もなかったかのように

「そこまで言うなら、お前が私の膝に来い。私を満足させてみるがよ」

アイレに自分の膝へ来いと膝をポンポンと叩いて促す。

だがアイレは渋い顔を投げかけるだけで拒否。
瑠璃夢も知っていたと言わんばかりの顔をしてから

「仕方ない。雪見だいふくで勘弁しようではないか。だが条件がある。私にそれを食べさせるのだ。膝の上で」

雪見だいふくで勘弁するが、
膝の上で自分に食べさせろという我儘な条件を押し付けてきた。

「それでお前が満足するとは思えんのだが、本当にそれでいいのか?」

ゴルダの問いに瑠璃夢は今さら何をと言わんばかりの顔で

「早くやるがよい」

早くしろと催促。

ゴルダはそれに分が悪そうな顔をしながら変身能力を発動。
次の瞬間ゴルダ居た場所には濃い紫毛で満月のように黄色い目、アメジストを額に宿したカーバンクルがそこには居た。

「一瞬で変身出来ちゃうんですね」

変身したゴルダを見てのルーナの一言を軽い頷きで流し、
台所の方へと歩いていくゴルダ。

「妙だな、買い置きがあったはずだが」

冷凍庫を引っかき回すゴルダに、
見かねたミリシェンスが奥の方にあった雪見だいふくを差し出す。

「最近こっちの世界で作られなくなって、全部日本からの輸入になってるのよね」

ミリシェンスの「最近は買うと高い」という、
遠回しな一言をこれまた首を縦に振る返事で済ませたゴルダは瑠璃夢の元へ。

「早くするのだ」

せかす瑠璃夢にゴルダは待てと制し、
無表情な顔で瑠璃夢の膝にふわりと座って開封。
中には餅に包まれたバニラアイスが二つ、
若干の白い煙を上げて白い餅の肌をさらけ出していた。

「そしてこれを、こうする」

次にゴルダが取り出したのはなんの変哲もない皿にナイフ。
その皿に雪見だいふくを取り分け、
ナイフでさらに切り分ける。

「私の取り分が少ないのだが」

そんな文句を言う瑠璃夢にゴルダは切り分けた一つを取り、
瑠璃夢の口に近づける。

瑠璃夢は自分の言いだしたことなので黙って口を開け、
ゴルダが近づけた雪見だいふくを受け入れた。

「溶け始めてるが、美味じゃの。もっとだ」

一欠片で満足するとでも思っていたのかと言わんばかりに、
美味とは言いつつも次を要求する瑠璃夢。

そして二欠片目を口に入れた後、
ゴルダは瑠璃夢の膝に座ったままアイレとルーナに

「お前達も口開けろ、食わせてやるから」

食わせるから口を開けるように言う。
アイレとルーナは言われた通りに口を開けていると雪見だいふくが入れられる。

いきなり口の中へ雪見だいふくを入れられ、
アイレもルーナもぽかんとしたものの、
口の中で溶けて広がる甘さに思わず顔がほころぶ。

「うまいか?」

ほんのりと口元に笑みを浮かべ、
うまいかとゴルダに聞かれた2人はそっと頷く。

「それは良かった」

無表情かつ怒り以外の表情を見せたことのないゴルダが、
カーバンクルの姿ではあるものの笑顔を見せたことで瑠璃夢はそんなゴルダを思いっきり抱きしめる。

「やめろ」

いきなり抱きしめられれてびっくりしたのだろうか、
やめろと言ったゴルダに瑠璃夢は頬ずりをしながら不敵に笑い

「私がかわいいものに目がないことは知っておるだろうに」

と言ってまた額を触る。
するとどうだろうか、魔力制御に異常をきたしたらしくゴルダは黄昏たような状態に。

「だっ、大丈夫ですか?ゴルダさん」

それを見たルーナが慌てて声をかけるとゴルダは手を追い払うような仕草をした。
問題ないということらしい。

「やっぱり触らない方がいいよ」

アイレに触らない方がいいと言われた瑠璃夢は少し考えてから、
急にアイレも引き寄せてゴルダと一緒にまた抱きしめる。

「お前達、今日は私のところに泊まれ。異論は認めぬぞ」

その直後の瑠璃夢の一言にゴルダとアイレは

「きついジョークだ」

「えー?」

それぞれ苦笑いに困った顔をした。
だが瑠璃夢はそんなことはお構いなしに2人を連れて行ってしまったという。

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小説(交流) |

もう一つのアルガティアとアイレにルーナとルーエ

夏真っ盛りのリフィルの昼下がり。
暑さに完全にやられ、干からびたような状態のアイレの横では、
ルーナがダメになった弓の弦を張り替えようとあの手この手を試すも上手く行かずに困っていた。

「せっかくシアさんから聖竜毛の弦をもらったのに」

この世界の弓の弦は幻獣の抜け毛から作られた弦や竜毛で作られた弦など、
様々な種類の弦が存在する。
ルーナがシアからもらった弦は、使用者の純粋な心に応じて様々に変化するものである事以外は一切不明。
ルーナは幻獣毛の弦と同等に引きしぼりやすいとのことでもらったのだが。

「溶ける以前に蒸発しそうだよ」

影に居ることは居るのだが、
それでも防ぎきれない暑さでアイレは水に戻った氷のごとくだらけていた。

「さっきまでゴルダさん居たのに居なくなってるし、アルガティアさんも姿を見てない。誰に教わればいいのかしら」

つい先ほどまで、ここにゴルダも居て軽く話をしていたのだが、
いつの間にかマティルーネとルァクルを連れて姿を消しており。
アルガティアはというと、
ゴルダの話では朝から講義や王としての仕事が忙しいので午前中は暇ではないと聞かされていた。

なお、アルガティアに関してルーナとアイレはゴルダからこんなことを言われている。

「今日はやたら王の威厳たっぷりで喧嘩腰かつ姉御肌だが、たまにあるから普通に接しろ。態度を変えられることをあまり好かないからな」

いつもはおっとりお姉さんな感じのアルガティアが、今日は姉御肌で喧嘩腰。
しかも王の威厳を放っていると聞いて、
アイレは頭上に魔力を具現化させた?をいくつも浮かべ、
ルーナは喉に魚の小骨でも刺さったかのような違和感を覚えた。

「どう言う意味なんだろう?」

なおも弦の張替えに挑みながらそんなことをルーナが呟いていると、
ゴルダからリフィル王立大だと教えてもらった建物の方から本を片手に抱え、
いつものようなゆったりした歩き方ではなく確かに地面を踏みしめ、
国王たる威厳を示す歩きで移動するアルガティアが視野に入る。

「なんだか目つきも鋭い」

そしてアルガティアがいつもと違うのは歩き方だけではなく、
その目つきすらも、いつものとは打って変わった鋭い目つきをしていた。

「なんだか声掛けの怖いなぁ。でもゴルダさん居ないし、弓の弦の張り方知ってるのアルガティアさんくらいだろうし」

一瞬いつもと違う雰囲気のアルガティアに怖気ついたが、
ルーナは他に弓の弦を張り替える方法を聞ける相手がアルガティアくらいしかいないので、
雰囲気のことなどかなぐり捨ててアルガティアに声をかけた。

「アルガティアさん」

その一言にアルガティアは鋭い目つきのままこちら側に向き直り、
口元を緩めてルーナ後ろで溶けた氷のような状態のアイレを見てから

「私に何か用かルーナ?用があるなら聞く。午後はそこまで忙しくはない。それとこの時間は影にいても暑いが大丈夫か?アイレが溶けているぞ」

要件を聞いた上でこの時間は影にいても暑いことを指摘し、
アイレが溶けていると話す。

アルガティアのこの一言でルーナが振り返ると、
そこには暑さで溶けぐったりしたアイレの姿が。

「どこか涼しいところありますか?」

状況を理解したルーナの一言に、
アルガティアは踵を返して無言でアイレを連れてついてくるよう促す。
ルーナはそんなアイレを抱えてアルガティアの後をついて行く。

「従者に一言言えば良かったものを、こんな暑い外にいたら熱中症で死んでもおかしくはない。危機管理が薄いぞ」

移動しながらアルガティアにそんな説教をされながら、
アイレを抱えたルーナはいつもの応接室とは違う部屋の前までやって来た。

他の部屋の扉と違い、国章が彫られた扉から察するにここはアルガティアの自室だろう。

「入れ、遠慮は要らない。ゴルダも入ったことがある」

入れと言われたからには入らない訳にもいかず、
こんな暑い回廊で棒立ちするのも危険なのでともかく入ることに。

部屋の中は涼しいことには涼しいのだが、
アルガティアの部屋は一国王の自室であるにもかかわらず、
家具類はベッドや本棚に机とソファにテーブルなどの必要最小限。
壁の収納もそこまで容量は大きくなさそうである。

「国王の部屋ならもっと物があるかと思いましたが、必要な物だけなんですね」

アイレをソファに寝かせ、
部屋を一通り見回したルーナに言われてアルガティアは鼻で笑うと

「国王としての仕事と、講師としての仕事は全て書斎だ。自分一人の時間を作るだけなら家具類はこれだけで構わん」

プライベートな時間を過ごすだけならこれで十分だと返すと、
アイレにどこからか取り出した薬のような何かを飲ませた。

「熱中症の薬で水分補給も可能な薬を飲ませた。1時間ほど安静にしてれば治る」

何を飲ませたんですかと言いそうな顔のルーナに、
アルガティアは飲ませたのは熱中症の薬なので落ち着けと遠回しに言う。

アルガティアのそんな一言と鋭い目つきの中に私を信じろという一言を感じ、
ルーナはそれ以上何も言わずにアルガティアに聞かれる前に自分の弓を取り出す。

「アルガティアさん、弦の張替え方教えてくれませんか?ゴルダさん居たので聞こうとしたんですがいつの間にか居なくなってて」

弦の張り方を教えてくれと言われたアルガティアは、
ソファに座って脚を組みながら

「構わない。が、この後ルーエが来ることになっている。すぐには無理だがいいのか?」

ルーエが来るのですぐには教えられないことを話す。
ルーナはそれでも構わないという意思表示を込めて頷く。

「お前もルーン語などに興味があるなら、私とルーエの話を横で聞いてるといい。知識への探究心は生きる上で重要なものだ」

アルガティアはそう言ったきり、
アイレとルーナに関わることをやめてテーブルの上に本を並べるとまた脚を組んだ姿勢で座る。

「随分堂々とした座り方するんですね。こう言うのは失礼かと思うんですが、あまりにも女王らしかぬ振る舞いをするなとも」

アルガティアの座り方に、女王らしかぬ座り方だと無礼もへったくれもないルーナの一言に対し、
アルガティアはふふっといつもと違うおっとりした雰囲気の笑い方ではなく、
威厳のありそう雰囲気の笑いを飛ばし

「悪くは無いだろう?もっとも、いつもの性格の私を知っていれば違和感しか感じないとは思うのだが」

悪くはないだろう?とルーナに問いかけつつ、
元の性格を知っていては違和感しか感じないだろうと言う。

「来ましたよ、アルガティアさん」

ルーナがアルガティアの問いに再び頷いて返答したと同時に、
ルーエがアルガティアの部屋の中へと講義で使っていると思わしき本を抱えて入ってくる。

「こっちだ、とりあえず座れ」

やはり脚を組んだままの状態でルーエを迎え入れたアルガティア。

「あっ、ルーナさん居たんですね。それにアイレも」

「ちょっとアルガティアさんに用があってね」

ルーナもアイレもルーエに会うのは初めてではないが、
会う機会がそこまでないためこうして会うことは珍しい。

「さて、始めようか」

ルーエとアルガティアがルーン語について話している間、
ルーナは薬を飲んでから一切起きる気配のないアイレを撫でながら2人の話に耳を傾ける。
やはり言っていることは断片的にしか理解できないが、
聞いていて飽きるものではなかった。

「訳してみなさい。今の話が理解できれば訳せる」

いつの間にか脚を組む姿勢をやめて、
普通の座り方でルーエに自分の書いたルーン語を訳してみるように言うアルガティア。
ルーエはそれを難なく訳し、それをアルガティアに見せる。

「悪くはないわ。私の言ったことを的確に抑えていて訳し方も申し分ない」

その後もこんなやり取りを続けてる傍で、
ようやくアイレが目を覚ます。

「んー」

寝ぼけているのだろうか、
ルーナが撫でるのをやめるとアイレは何を考えたのか唐突に自分の尻尾を咥えて食べ始めた。

「アイレ、何やってるのよ」

ルーナが話しかけてもアイレは自分の尻尾を食べたまま虚無の表情を浮かべている。

「あら、暑さで頭をやられたのか?」

ルーエにルーン語を教える手を止めて聞いて来たアルガティアにアイレは

「ふぉんなふぉとにゃひよ」

寝ぼけた口調で尻尾を食べたままそんなことはないと否定。
そんなアイレの姿を見たルーエは思わず

「口の中に毛が残っちゃいますよ?」

冷静に口の中に毛が残るのでやめておけと言う。
だがそれでもアイレはやめる気配がない。

「しばらくそのままにしときなさい、そのうち正気に戻る」

何を言っても無駄なのでしばらくそっとしておくように言うアルガティアに、
またもやルーナは思い出したかのように

「弦の張り方教えてください」

アルガティアに弓の弦の張り方を教えて欲しいと言う。
それに対してアルガティアはティーセットなどが入っている戸棚の前まで歩き、
茶の準備を済ませて戻って来てから

「いいわ。でも今はティータイム。急ぎで要り用ではないのだろう?午後は私もそこまで忙しくはないと話したはず」

教えるのは構わないが、急ぎで必要としないならば今はティータイムだと言う。

「そ、それもそうですけど」

アルガティアの鋭い目つきに押され、
ルーナは少し引き気味になりながらも肯定。
するとアルガティアは鋭い目つき一瞬緩ませて微笑むと

「よろしい。アイレはそっとしておいてルーエもティータイムにしよう」

2人に茶を出してティータイムに入る。

その間アイレはやはり尻尾を咥えたままボーっとしていた。

さて、それからどれくらい経ったかは不明だが唐突にアルガティアの部屋の扉が開く音がする。

「ルーナは居るか?」

ゴルダの声に気付き、ルーナが振り向くとそこにはマティルーネとルァクル。
そしてミリシェンスよりも濃い紫の毛に黄色い目。
額にアメジストを宿したフィルスと同じ尻尾のカーバンクルがルーエと同じ二足歩行で歩いてこちらへやって来た。

「ゴルダか。その姿、よほど気に入ったのかしら?」

「この姿で居ると癒される」

ルーナと未だに尻尾を咥えていたアイレがハッと咥えていた尻尾を離し、
このカーバンクルがゴルダなのか?と信じられないと言いたげな顔で見つめている。

「ゴルダさんに変身能力があるのは知ってましたけど、ボクと同じカーバンクルに変身できるとは知りませんでした」

アルガティアにおかわりを注いでもらい、
それを一口飲んでからルーエは謎のカーバンクルの姿のゴルダに言う。

「ゴルダにも色々ある。そちらが知らないようなこともな」

ルァクルの一言にルーエはなるほどと一人納得。
一方のアイレとルーナは、未だに理解が追いついてないのか混乱しているようにも見える。

「2人はまだ知らないと思うが、ゴルダはカーバンクルの魂がくっついている。そのせいで今のような姿になれるし、精神属性もかなりの適性がついている」

アルガティアから説明されて、
ゴルダはルーナとアイレの間に割って入るように座り、
マティルーネはアルガティアの膝の上に、
ルァクルはルーエの足元に座る。

「飲む?」

「いや、いい」

アルガティアに茶を飲むかと聞かれてゴルダはいいと返し、
アイレが先ほどまでやっていたように自分の尻尾を咥えて目を閉じる。

「それ、幻獣族の間で流行ってるらしいな。私の記憶ではユキヒョウと言う動物が自分を落ち着かせる為に尻尾を咥えることがあるようだが」

自分の尻尾を咥えて目を閉じたゴルダを見て、
アルガティアは最近幻獣族の間で流行っていると言いつつ、
ユキヒョウが落ち着くために自分の尻尾を咥えることがあると話す。

「居ますね、ボクが出ている講義にもユキヒョウ亜人の学生がいますけど、たまに自分の尻尾咥えてるの見かけます。こんな風に」

アルガティアの話を聞いて、
ルーエは自分が出ている講義に居るユキヒョウ亜人もこうして居たと自分の尻尾を一瞬咥えた。

「よく咥えられますね、私には無理ですけど」

ルーナは一瞬尻尾を咥えたルーエとずっと尻尾を咥えて目を閉じているゴルダを見て、
ルーナは自分もやってみようとしたが無理だったので私には無理だと呟く。

「無理にするものでもない」

そう言うアルガティアに、
アイレはまた尻尾を咥えて目を閉じたままのゴルダに向きなおる。

「なんとも微笑ましい光景だわ」

皮肉か本音か分からないマティルーネの一言にルーエがまた自分の尻尾を咥えて

「ほひれほひふくふぇ」

落ち着くねと静かに返す。

「アルガティアさん、弦の張り方教えてください」

「構わない。少し準備するから待て」

弦の張り方はティータイムの後に教えると言われたことを覚えていたルーナは、
尻尾を咥える3人をよそに今度こそは弦の張り方を教えて欲しいと言う。

アルガティアはそれにすんなり応じ、
自分の弓と道具を取り出してルーナに弦の張り方を教え始める。

「そうだ。あまりきつくし過ぎるな」

ルーエが尻尾咥えをやめてルーン語の自習を始めた頃、
ルーナとアルガティアは弦の本格的な張替えへと入る。
使用者の癖に合わせて調整が必要なため、
アルガティアもその調整の方法をルーナへと教えた。

「実際に引いてみるんだ。軽く感じればきつくするし、重く感じれば緩める」

ルーナは魔力の矢を装填せず、アルガティアの言う通りに弓を引き絞る。
引き絞った感じでは重くも軽くも感じず、
聖竜弦は幻獣弦とはまた違った感覚を得られた。

「問題はなさそうね。それでいいなら仕上げをして終わり」

アルガティアは張替え後の仕上げまで丁寧に教え、
ルーナは問題なく弦の張替えを終える。

「かすかに今の性格のアルガティアに畏怖しているな。ルーナ、アイレ」

尻尾咥えを解除し、ゴルダは静かに言い放つ。

今の今まで尻尾を咥えて黙っていたのは、
精神を集中させてルーナとアイレの精神に探りを入れていたからだ。

「だっていつもと雰囲気が変わりすぎだもの、そりゃ怖くもなるよ」

と言うアイレに対してルーナは

「でも、結局いつものアルガティアさんとそこまで変わらないので、恐怖心も話していくうちに薄れましたよ」

話せばいつものアルガティアとそこまで変わらないので恐怖心も薄れたと返す。

すると2人の言葉の対してアルガティアが

「私はどんな性格であろうとお前達をどうこうするつもりはない。少なくとも今の所は。だが、お前達を傷付ける奴らに私は容赦しない」

どんな性格であろうが悪いようには扱わない。
そして傷付けるような奴は放っておかないと話した。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

小説(交流) |

クェムリーヴェス

性別:不詳
身長:イファルシアと同じくらい
享年:不詳
性格:他者をからかい気味
種族カーバンクル(月と水)
イファルシアのような体型と耳にフィルスのような尻尾。
ミリシェンスよりも濃い紫の毛並み、アメジストの核石、そして満月めいた黄色い目。
生前は名だたる精神属性の使い手だったようだが、ある者に騙されて殺された上に自身と同じ姿のぬいぐるみに魂を縫い付けられた。
それが巡り巡ってゴルダを取り込み、シアの手でゴルダが引き剥がされた際に接着剤でくっつけられたかのような状態で一緒にぬいぐるみから引き剥がされた。
以来ゴルダに自身の生前の姿の変身能力を授けたと共に寿命尽きるまで付き合うこととなった。

テーマ:キャラクター設定/紹介 - ジャンル:小説・文学

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